水道工事では、現場作業や施工図面の作成だけでなく、積算も重要な業務のひとつです。積算に不備があると現場が計画通りに進まない可能性が出てくるため、正しい知識を持って積算作業を行う必要があります。
この記事では、水道工事の積算作業に必要な積算基準や歩掛、積算の流れや自動化ソフト導入のメリットなどについて解説します。積算業務の効率化を図るうえでも役立つ情報をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
水道工事の積算で知っておくべき「積算基準」と「歩掛」
水道工事の積算において、「積算基準」と「歩掛」は基本となる重要な概念です。ここでは、それぞれについて詳しく解説します。
積算基準とは?
積算基準とは、工事の各項目の定義や工事費用を算出する際の基準などを示したガイドラインです。積算作業そのものは、水道工事だけでなく建設業界全体で広く用いられています。
積算では、資材の数や人工など工事で扱われるあらゆる数値を計上し、計算によって工事に必要な数値を正確に把握します。正しい積算により、材料費や人件費を含めたコストが明確化され、適切な見積りが可能になります。
積算基準を定めることで、見積書作成の効率化を図るとともに、金額の妥当性を検証し、適性な見積り金額の提示を促すことにつながります。積算基準は法的な規定ではないものの、積算の水増しなどの不正行為を防止するうえで重要なルールとして機能しています。
歩掛とは?
歩掛とは、水道工事の各種作業に必要な時間や日数、作業員の人数を一定の基準に基づいて数値化した指標のことです。例えば、「給水管引込工事1mにつき1人工」といったように使われます。
一般的に、歩掛は積算基準のなかで決められている他、統計データなどを参照するケースもあります。歩掛を基に見積書を作成することで、積算の根拠が明確になるため、取引先や顧客からに対しても説明がしやすくなり、同時に信頼性向上につながります。
また、歩掛は作業員の年齢や保有資格、経験値なども影響しています。例えば、経験が10年のベテラン職人と、入社したばかりの新人とでは作業時間に差があります。各作業員の歩掛を把握することで、当日の工事内容に応じて適切な人員配置ができ、工期の厳守につながるでしょう。
水道工事の積算の流れ
水道工事の積算では、似た現場の事例を参考にして必要な資材や作業員数を設定していくのが一般的です。ここでは、おおまかな水道工事の積算の流れを解説します。
現場に必要な設備を把握する
顧客から受け取った図面を基に、工事規模に応じて必要な設備を洗い出します。周辺環境の状況や道路幅、建物の有無なども確認が必要です。
人工(労務費)を算出する
水道工事の概要が定まったら、各作業員の労務単価を計算し、工事全体の人件費を算出します。工事現場における人件費は、人工(にんく)と呼ばれ、1日(8時間)あたりの人件費を指すケースがほとんどです。
同じような工事でも要件が異なれば人工が変わるため、事前に設計図や仕様書から施工条件を確認し、必要な資格や人数を把握する必要があります。
例えば、作業員2人で2時間かかる作業は、(2人×2時間)÷8時間=0.5人工です。同じ作業を10箇所行うのであれば、0.5×10=5人工が必要だとわかります。そして、作業時間は5人工×8時間=40時間と見積もることが可能です。
材料費を算出する
図面から必要な資材を特定しつつ、材料費の概算を算出します。資材を特定し、数量や長さなどを考慮し、各資材のおおよその金額を算出します。屋内の配管工事では、設置されている設備も多いため、正確に積算業務を行うためには細かな確認が必須です。
資材の種類や数にミスがあると、コストの概算に誤りが生まれ、工事代金を多く請求するなど顧客とのトラブルにつながりかねません。反対に、本来請求すべき金額よりも見積りが低いと、会社の損失となるでしょう。必要な資材の数を正しく把握するために、図面からの拾い出しは丁寧に行うことが大切です。
書類を作成する
労務費と材料費を算出できたら、内訳明細書などの必要な書類を作成します。無料のテンプレートや積算ソフトを活用することで、細かな入力項目まで効率的に埋めることが可能です。書類を作成した後は、内容に誤りがないか確認して積算業務を終了します。
エクセルから脱却!水道工事の積算にソフトを導入するメリット
水道工事の積算はエクセルでも可能ですが、積算ソフトを導入することで正確な見積書を効率的に作成できます。ここでは、積算ソフトを導入する主なメリットを解説します。
人為的ミスを防ぐ
積算ソフトを活用することで、人為的ミスの防止につながります。水道工事を通して利益を出すためには、正確な見積書の作成が必須です。特に、資材の拾い出しは工事全体を管理するために重要であり、ミスがあると工程の遅れや現場トラブルの原因となる可能性があります。
エクセルでは、レイアウトや計算式が手入力になるため、作業中に崩してしまう、歩掛を見間違えるなどエラーが起こりやすくなります。積算ソフトであれば、見積書作成に必要な機能が揃っているため、ミスを避けつつ短時間で正確な書類を作成できます。
管理業務の効率化に役立つ
水道工事における管理業務の効率化にもソフトが役立ちます。水道工事の受発注や工程表などを管理するソフトと連携できれば、積算作業を含めて一括管理することが可能です。
書類作成の業務負担を軽減できる
現場業務が忙しいと、工事台帳の作成や管理を先送りにしがちです。工事ごとの原価や工事の進捗、経営状況などを適切に把握、管理するためには工事台帳が欠かせません。
積算ソフトのなかには、工事台帳や顧客情報の管理、日報作成などの機能を備えた製品もあります。工事に関する業務を一元管理することで、作業の効率化を促せるでしょう。
\この記事も読まれています/
まとめ
水道工事の積算は、現場作業や図面作成と同様に重要な業務のひとつです。現場に必要な労務費や材料費を正しく算出し、見積書や施工計画書を作成するうえで、積算作業を正確かつ効率的に行う必要があります。
予算計画やスケジュールに沿った施工を実施するためにも、積算ソフトを活用してスムーズに実行するが大切です。積算業務の効率化に向けて、ソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
水道工事の積算についてよくある質問
水道工事の積算で重要となる管材費とは?
水道工事では、管材費の積算が重要です。管材費とは、水道管の材料費のことで、継手管や栓など水道設備を構成する資材の金額を指します。
水道工事では、工事費に占める管材費の割合が大きい傾向があります。そのため、発注者によっては管材費の控除率などに独自ルールを定めているケースもあるため事前に確認しましょう。
水道工事の積算のおおまかな流れは?
水道工事における積算の流れは、以下の通りです。
- 現場で必要な設備を洗い出す
- 労務費(人件費)を算出する
- 材料費を計算する
- 必要な書類を作成する
労務費や材料費の計算は正確さが求められるため、積算ソフトの活用をおすすめします。
水道工事の積算ソフトを導入するメリットは?
水道工事に積算ソフトを導入することで、以下のようなメリットが期待できます。
- 拾い出しや計算過程における人為的ミスを防ぐ
- 管理業務の効率化を促す
- 書類作成の業務負担を軽減する
現場で使う資材が多い場合、拾い作業や計算におけるミスは請求金額の誤りにつながるリスクがあります。また、企業の利益を確保するためにも、正確な金額を見積書に記載することが大切です。
積算ソフトを活用すれば自動計算が可能なため、手入力による間違いを防ぎ、短時間で正確な書類を作成できるでしょう。
水道工事の積算ソフトの料金相場は?
製品の機能や仕様によって金額は異なりますが、一般的には数十万円から200万円以上が相場です。無料トライアルで機能性や操作性を試せるものや、フリーソフトもあります。必要な機能が使えるか、サポート体制は万全か、といった点も考慮して選ぶことが大切です。
\【スイポ】サイトへのご意見募集してます/ 「こんなこと知りたい」、「ここが使いにくい」などの貴重なご意見を募集しております。