水道の引き込み工事を行う際に申請できる補助金制度があります。
国や各自治体による補助金制度の要件を満たしている場合、費用負担を軽減できます。
本記事では、水道の引き込み工事で活用できる補助金制度をまとめて紹介します。
制度の概要から申請条件、補助金額の目安まで詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」とは、良質な住宅ストックの形成や、子育てに有利な生活環境の整備などを目的として、 既存住宅の長寿命化や省エネ化に資する性能向上リフォームや子育て世帯向け改修に対する支援を行います。
例年4月に事業者登録の受付期間が開始され、交付申請の受付期間は5月前後からスタートします。
補助金の要件
補助金を受けるためには、以下4つの要件をすべて満たしている必要があります。
1.リフォーム工事前にインスペクションを行うとともに、維持保全計画及びリフォームの履歴を作成すること
2.リフォーム工事後に次の性能基準*を満たしていること
3.上記2の性能項目の性能向上に資するリフォーム工事、三世代同居対応改修工事、子育て世帯向け改修工事、防災性の向上改修工事、レジリエンス性の向上改修工事のいずれか行うこと
4.住戸面積の確保、居住環境、維持保全計画の策定の要件に適合していること
* 必須項目:構造躯体等の劣化対策、耐震性(新耐震基準適合等)、省エネルギー対策の基準
任意項目:維持管理・更新の容易性、高齢者対策(共同住宅)、可変性(共同住宅)の基準
工事内容ごとの補助金額
水道工事に関する補助金は、以下の通り定められています。
工事内容 | 補助工事単価 | 単位 |
排水管更新工事 全設備機器から第一桝まで 旧配管の撤去共(埋設部分は存置) | 129,000円 | 円/式 |
給水・給湯管更新工事 メーターから各機器まで 旧配管の撤去共(埋設部分は存置可)*1 | 120,000円 | 円/式 |
給水・給湯管更新工事や管ヘッダー方式 旧配管の撤去共(埋設部分は存置可) ヘッダー共*1 | 219,000円 | 円/式 |
*1:それぞれ重複計上不可
排水管更新工事では、排水管はすべての機器に接続する管を更新する場合に適用し、部分的な交換には適用されないため注意しましょう。
給水・給湯管更新工事では、給水管、給湯管の両方を更新する場合は数量を1、いずれかの更新のみの場合は数量は0.6です。
補助工事単価は目安であり、工事の条件次第では満額が適用されない場合もあります。
水道施設整備費国庫補助金
「水道施設整備費国庫補助金」とは、水道事業または水道用水供給事業を経営する地方公共団体に対し、安全で質が高い持続的な水道を確保するため、施設整備に要する費用の一部を補助する制度です。
補助金には「水道水源開発等施設整備費補助」と「簡易水道等施設整備費補助」の2つがあります。
水道水源開発等施設整備費補助
「水道水源開発等施設整備費補助」は、厚生労働省が主催する水道事業者向けの補助金制度です。
ダム等の水道水源施設整備事業や、水源水質の悪化に対処するための高度浄水施設整備事業、生物処理やオゾン処理などの高度処理用の浄水施設の整備などが該当します。
補助率は4分の1、3分の1、2分の1で、事業内容や事業開始時期によってどのくらいの割合で補助を受けられるかが変わります。
対象要件として以下が定められています。
- 水道事業者
- 資本単価資本単価が90円/㎥(水道事業)、70円/㎥(水道用水供給事業)以上
- 高度浄水施設の整備が特に必要と認められる河川等に設置される施設
作業の安全性と効率性の確保
水道メンテナンスや修理作業のために断水が行われる場合、作業者が安全かつ効率的に作業を進めるためには、住民に断水を周知することが重要です。
お知らせを確実にすることで、誤解や危険な状況を回避できます。
簡易水道等施設整備費補助
「簡易水道等施設整備費補助」は、簡易水道の施設整備に関し、各市町村に対して水道事業に要する費用の一部を補助する制度です。
具体的には、水道が敷設されていない地域において、自治体の水道未普及地域解消計画に基づく簡易水道施設等の整備事業などが含まれます。
また、簡易水道等の統合整備を行う事業や、老朽化した簡易水道施設等の増補・改良、および水量を拡張する事業なども該当します。
対象となるのは、基本的に布設条件の特に厳しい農山漁村における簡易水道の整備事業です。
補助率は、事業内容や財政力指数により異なり、4分の1、3分の1、10分の4のいずれが目安です。(離島・奄美地域は2分の1)
東京都「助成金制度」
東京都では、各区で水便関係の助成金制度を設けています。
水洗便所助成や私道排水設備助成のほか、住宅修繕や私道整備(道路舗装等)の助成制度を設けている区もあり、それぞれで申請要件は異なります。
ここでは、一部の助成金制度を紹介します。
中野区の助成金制度
中野区では、下水工事に関する私道整備助成(舗装工事)を提供しています。私道に設置されている老朽化した下水管の入れ替え工事をする場合に助成が受けられます。
私道整備助成の対象となる工事の要件は、以下の通りです。
- 私道で、幅員が1.2m以上かつ排水設備に下水を排水することのできる戸数が2戸以上ある場合の路線単位(交差点から交差点までの全線)※私道の幅員は1.22m以上
土地使用承諾が得られた範囲内で、下水道施設の施工が可能であれば、助成の対象です。私道の幅員は1.22m以上に限ります。
また、二世帯住宅、マンション、アパート等の集合住宅は、1棟で1戸の扱いとなります。
助成率は、以下の通りです。
- 新規の整備:基準工事費の90%
- 前回の整備から15年以上30年未満:基準工事費の72%(90%×0.8)
- 前回の整備から30年以上:基準工事費の90%
最新情報や申請詳細については、担当である都市基盤部・道路課・道路維持係に問い合わせてみましょう。
荒川区の助成金制度
荒川区では、私道における公共性の高い私道の舗装や下水道工事を行う場合、整備費用の助成が受けられます。
区の助成割合は以下の通りです。
- 舗装工事(舗装、L形側溝、雨水ます):90〜100%(地元の負担割合0〜10%)
- 下水工事(下水管、汚水ますなど) :90%(地元の負担割合10%)
※建築基準法の私道などについては、舗装工事に関して区の助成率が100%、地元の負担は0です。
助成対象となる私道は、以下の要件を満たしている必要があります。
- 幅員が1.2m以上
- 沿道の住民が4棟以上
- 公道または、整備された私道に接続している
- 特定の所有者の通路等でないこと
申請する際は、土地所有者や沿道住民など全員の承諾を得た上で、代表者が行う必要があります。現地の状況により工事範囲と申請関係者が決まります。
申請時には、以下の書類が必要です。
- 申請書
- 土地所有者承諾書
- 土地所有者承諾書の押印に用いた印鑑の印鑑登録証明書
- 土地所有者見取り図
- 沿道住民連名簿
- 誓約書
千葉県「上水道配水管布設事業補助金」
千葉県の「上水道配水管布設事業補助金」は、千葉市内で地下水を利用されている人などが新しく上水道による給水に切り替える際に、配水管布設工事による負担を軽減する目的で補助金が受けられる制度です。
補助金の要件
申請対象となるのは、配水管布設工事の費用を負担する人全員ですが、対象外となる場合もあります。
例えば、以下のような場合は補助金の対象とならないため注意が必要です。
- 公道の下を通る配水管から自宅敷地内に水道を引く給水管(給水装置)工事を行う場合
- 配水管布設工事の費用の全額を、千葉県企業局または千葉市水道局(以下「水道局」)が負担する場合
- 汚染されている地下水を飲用しており、配水管を引く際に千葉市の環境規制課から補助を受ける場合
補助額は、以下2つのいずれか低い金額です。
- 補助対象者の負担金の3分の1の額(千円未満切り捨て)
- 補助金交付申請戸数×20万円
補助金申請の流れ
補助金申請時のおおまかな流れは以下の通りです。
1.水道局へ配水管布設工事の申請
2.水道局と工事費用などの事前協議
3.水道局と配水管布設工事に関する協定を締結
4.水道局へ協定でとりきめた負担金を納付
5.工事前に千葉市へ「補助金交付申出書(様式第1号)」などを提出
6.審査後、千葉市から回答書を受領
7.水道管布設工事終了後、工事費用の精算
8.千葉市へ「補助金交付申請書兼実績報告書(様式第5号)」などを提出
9.審査後、千葉市から補助金交付決定通知書兼補助金額確定通知書を受領
10.千葉市へ「補助金交付請求書(様式第7号)」を提出
11.補助金の受給
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まとめ
水道引き込み工事に向けて、国や各自治体で補助金や助成金が設けられています。
各制度ごとに申請要件は変わるため、一概に利用できるとは言えませんが、工事の費用負担を大幅に抑えられる場合があります。
具体的なスケジュールや詳細については、ホームページで確認できます。
また、工事現場を管轄する市区町村に問い合わせると、申請方法や補助金額などの詳細をもらえるでしょう。
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