ものづくり補助金は、中小企業や小規模事業者を対象とした補助金の1つです。
革新的な技術や商業の開発、サービスの生産性向上に向けた設備投資などに対して、国による支援を受けられる場合があります。
本記事では、ものづくり補助金の概要から申請方法、申請の流れ、水道工事事業における活用事例などについて解説します。
ものづくり補助金とは?
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)は、中小企業や個人事業主などに対する国の支援制度です。
日本の企業体の99%以上を占めるとされる小規模事業者が、事業を運営する中で将来直面する可能性の高い制度変更に対応できることを目的としています。
革新的サービス開発や試作品開発、生産プロセスの改善に向けた設備投資などに対して支援が受けられます。
補助対象によって5つの「枠(類型)」に分けられ、各類型で補助率や補助金額が異なります。
1. 通常枠
通常枠は、新しい製品やサービスの開発、生産方法や提供方法の改善につながる設備・システムの導入補助に対する支援です。
補助対象となる経費には、機械装置やシステム構築費、運搬費、技術導入費、外注費・専門家経費、クラウドサービス利用費などが含まれます。
補助金額は、従業員数によって以下のように定められています。
- 従業員数5人以下:100万円~750万円
- 従業員数6~20人:100万円~1,000万円
- 従業員数21人以上:100万円~1,250万円
補助率は原則1/2ですが、小規模企業者・小規模事業者、再生事業者は2/3です。
2. 回復型賃上げ・雇用拡大枠
回復型賃上げ・雇用拡大枠は、賃上げや雇用拡大に取り組む小規模事業者の支援を目的としています。
申請要件が基本要件より多いですが、業績が厳しい中で設備投資を補助してもらえる可能性があります。
通常枠と同様に以下のように補助上限額が設定されており、補助率は一律で2/3です。
- 従業員数5人以下:100万円~750万円
- 従業員数6~20人:100万円~1,000万円
- 従業員数21人以上:100万円~1,250万円
3. デジタル枠
デジタル枠は、政府が進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)化の一環として第10次公募から導入されています。
自社製造プロセスの可視化をはじめ、デジタル技術を活用した生産プロセスやサービス提供の改善などに利用できます。
基本要件に加えて、事業内容や経済産業省が公開するDX推進指標を活用した自己診断の実施・提出などの追加要件があります。補助率は一律で2/3です。
- 従業員数5人以下:100万円~750万円
- 従業員数6~10人:100万円~1,000万円
- 従業員数21人以上:100万円~1,250万円
4. グリーン枠
グリーン枠とは、温室効果ガスの排出削減に資するものづくりに取り組む小規模事業者を支援する枠です。
通常枠の基本要件の他に、追加要件を満たす必要があります。いずれの類型でも補助率は2/3です。
【エントリー類型】
- 従業員数5人以下:100万円~750万円
- 従業員数6~10人:100万円~1,000万円
- 従業員数21人以上:100万円~1,250万円
【スタンダード類型】
- 従業員数5人以下:750万円~1,000万円
- 従業員数6~10人:1,000万円~1,500万円
- 従業員数21人以上:1,250万円~2,000万円
【アドバンス類型】
- 従業員数5人以下:1,000万円~2,000万円
- 従業員数6~10人:1,500万円~3,000万円
- 従業員数21人以上:2,000万円~4,000万円
5. グローバル市場開拓枠
グローバル市場開拓枠は、海外事業の拡大・強化に向けた設備導入を補助する枠です。
通常枠よりも補助金の上限額が高額な上、海外旅費も補助対象などの特徴があります。
下記4つの類型が用意されており、どのような目的で投資を行うかによって異なります。
いずれかに当てはまる場合に補助金を受け取れます。
- 海外直接投資類型
- 海外市場開拓(JAPANブランド)類型
- インバウンド市場開拓類型
- 海外事業者と共同事業類型
補助金額は100万円〜3,000万円です。補助率は原則1/2ですが、小規模企業者・小規模事業者は2/3と高めに設定されています。
申請対象の条件
ものづくり補助金の申請対象となるのは、日本国内に本社および補助事業の実施場所を有する小規模事業者です。
申請の際には、以下のうちいずれかの要件を満たしている必要があります。
【申請対象者】
- 資本金または従業員数(常勤)が一定値以下の会社または個人中小企業者(組合関連以外)
- 「中小企業等経営強化法」第2条第1項に規定される特定の組合に該当する中小企業者(組合・法人関連)
- 従業員数、資本金額(または出資総額)や組合などの条件を満たす特定事業者の一部
- 活動内容や従業員数などの条件を満たす特定非営利活動法人
- 従業員数が300人以下の「社会福祉法」第32条に規定する所管庁の認可を受け設立されている社会福祉法人
ただし、グローバル市場開拓枠のうち、海外直接投資類型については日本国内の他に海外にも事業実施場所を有している必要があります。
また、回復型賃上げ・雇用拡大枠のみの適用要件も下記の通り設定されています。
- 前年度の事業年度の課税所得がゼロ以下であること
- 常時使用する従業員がいること
- 補助事業を完了した事業年度の翌年度の3月末時点において、給与支給総額・事業内最低賃金が指定した増加目標を達成していること
ものづくり補助金の申請方法
ものづくり補助金を申請する方法は、インターネットによる電子申請のみです。
電子申請システムでは、事前に「GビズIDプライムアカウント」を取得する必要があります。
このアカウントは、事業者情報の再入力の手間を省く目的を兼ねており、補助金交付候補者の採択後の手続きでも使用します。申請時の入力は、電子申請システム操作マニュアルに従って行います。必ず申請者自身が入力内容を理解、確認して進めましょう。
ものづくり補助金の申請の流れ
ものづくり補助金のおおまかな申請手順は、以下の通りです。
- 「GビズIDプライムアカウント」を持っていない場合は新たに取得する
- ものづくり補助金総合サイトの電子申請システムにログインする
- 電子申請システムにて申請内容を入力する
- 申請内容を送信
申請には事業計画書をはじめ、複数の書類をサイト上でアップロードする必要があります。
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ものづくり補助金の活用事例
小口設備工業株式会社では、「漏水ハザードマップ」を活用した漏水危険早期探知サービス等の提供を申請し、2019年1月25日に補助金の受給承認を受けています。
サービスは、行政向けの「漏水ハザードマップを活用した漏水探知サービス」と、工場・一般家屋向け「配管経路図を活用した漏水探知サービス」の2つで構成されています。
地中に設置される水道設備の老朽化にいち早く気づき、必要な修繕作業を行うために、漏水ハザードマップを構築しました。いつごろ水道工事が行われたか、現在どの程度老朽化しているか、といった情報を事前に案内することで、トラブルの予防に役立てています。
まとめ
ものづくり補助金は、中小企業や個人事業主が事業に必要な資金に対して補助を受けられる制度です。
申請方法は、電子申請のみとなっており、事業計画など提出書類を揃えて手続きする必要があります。
補助金には5つの枠があり、従業員数などによって申請要件や補助上限額が異なるため、事前に確認した上で準備を進めましょう。
ものづくり補助金についてよくある質問
Q:ものづくり補助金にはどのような種類がありますか?
A:ものづくり補助金は、大きく分けて以下5つの枠に分かれています。
- 通常枠
- 回復型賃上げ・雇用拡大枠
- デジタル枠
- グリーン枠
- グローバル市場開拓枠
グリーン枠とグローバル市場開拓枠は、さらに細かな類型に分かれ、それぞれで申請要件を満たす必要があります。
Q:ものづくり補助金の対象経費は何がありますか?
A:補助金制度の対象経費は、機械装置やシステムの構築費用、運搬費、技術導入費、知的財産権などの関連経費、外注費や専門家に依頼する際の費用、クラウドサービス利用料、原材料費などです。
Q:ものづくり補助金の申請対象は?
A:申請対象は、日本国内に本社および補助事業の実施場所を有する小規模事業者で、かつ以下のうちいずれかの要件を満たしている場合です。
- 資本金または従業員数(常勤)が一定値以下の会社または個人中小企業者(組合関連以外)
- 「中小企業等経営強化法」第2条第1項に規定される特定の組合に該当する中小企業者(組合・法人関連)
- 従業員数、資本金額(または出資総額)や組合などの条件を満たす特定事業者の一部
- 活動内容や従業員数などの条件を満たす特定非営利活動法人
- 従業員数が300人以下の「社会福祉法」第32条に規定する所管庁の認可を受け設立されている社会福祉法人
ただし、申請対象外とされる条件も細かく規定されていますので、事前にホームページなどで確認しておきましょう。
Q:ものづくり補助金の最高額は?
A:補助上限額は、枠や類型、従業員数などによって異なります。通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠では最高1,250万円ですが、グリーン枠のアドバンス類型では最高4,000万円、グローバル市場開拓枠では最高3,000万円と決まっています。
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