水道工場や建設工事で使用する配管図では、簡略化された記号が多数用いられます。CADでの配管図作成においては、基礎知識と注意点の把握が重要です。現場調査から図面作成の流れを押さえる上で、CADで使われる配管記号を理解する必要があります。
本記事では、配管図で使われる記号の意味や配管図面の作成手順、作図の効率化に役立つCADソフトなどについて解説します。工事の安全性と品質の担保に直結する配管図面の作成におけるポイントを紹介しますので、今後の業務でぜひお役立てください。
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CAD図面作成で覚えておきたい配管記号
配管図は、水道工事や設備工事などで用いる図面の1つです。液体や気体などが通る配管の順序や構成、設備との位置関係を確認するために用いられます。
配管図では設備や要素を記号で表すのが一般的です。CAD図面でよく使用する配管記号とおおまかな使い方について解説します。
記号要素
記号要素は、配管や計測機器などを示す記号のことです。メインとなる配管は実線で、塩ビ管や鋼管などの直管は直線で、ゴムホースやフレキシブルホースは曲線や波線で表します。
機器は丸や四角を使い、形やサイズ、角度などで意味を変えます。似た記号も多いため、重要な記号だけでも暗記しておく必要があります。
機能要素
機能要素は、液体用配管でよく使用される記号です。水平や垂直に書かれた直線の矢印は流体の流れる方向を表し、斜線の矢印では可変操作が可能という意味になります。周囲の記号と合わせて読み解くためにも、重要度の高い記号は覚えておきましょう。
継手(接続方法)
継手は、液体用の配管でよく用いられる記号です。配管の終わりに付けるキャップやプラグにも、継ぎ手部分と同じような短い線記号を使います。記載情報が細かくなりすぎないように、図面上では継手を省略して、部品リスト図に表記することもあります。
バルブ(弁)
バルブ(弁)は通常2つの三角を向い合わせた形で表します。玉形弁やボール弁、ゲート弁、ニードル弁など多くの種類があり、使い分けのためには多少の違いをつけます。また、N字や尖った波線などが用いられる場合もあります。
弁の接続フランジの面間や取付方向などの情報は、図面に別途記載するのが一般的です。
CADで配管図面を作成するときの流れ
実際にCAD上で配管図面を作成する流れを紹介します。
1. 図面の基本情報を決定する
現場調査などで調べた配管のレイアウトを、スケッチなどでまとめてCAD図面に落とし込む準備を行います。また、使用するプリンタなどに合わせて図面のサイズも設定しておきます。
2. CADソフトで新規作成する
CADソフトを起動して新規作成を行います。作業領域や描画スケールも決めておきましょう。
3. 配管シンボルや接続を追加する
配管図用のシンボルを追加し、配管の種類やサイズなどを図面上に表記します。また、配管を接続し、方向や性能を考慮してバルブなども配置します。
4. 表を作成する
配管図にて、配管の本数や名称、起点から終点までの情報を、表形式でまとめる場合もあります。
5. レイアウトを整理する
最後に、見やすいようにレイアウトを整理します。各部品の描画位置やブロックの位置、配管の番号、製造業者など情報量を調整しながら仕上げます。
CADで配管図面を作成するときの注意点
CADで配管図面を作成する際に注意すべきポイントを紹介します。配管図面に関する作業を効率的に進めるためにもお役立てください。
レジェンドリスト(記号凡例)をあらかじめ用意する
配管図で用いる記号には、基本的に全国統一のルール(JIS B 0011)があります。ただ、実際には企業や案件によって使われる記号は異なるため、配管図のレジェンドリスト(記号凡例)をまとめておきましょう。
顧客の独自ルールがある場合は、設計担当者からリストを入手しておくとスムーズです。チーム内で共有すれば、配管図の表記を統一できます。
正確な図面作成のためにチェックリストを活用する
配管図に誤りがあると、現場での作業に影響が出る恐れがあります。また、追加予算が発生する可能性もあるため、正確な図面を作るために以下の点に注意すると良いでしょう。
- 寸法や数値の確認
- 配管経路:配管の接続方向や管径、取り付け方法
- 機器の位置:配管機器の設置位置
- 図面上の記号の確認
現場に応じた注意事項を図面に反映させる
配管工事を行う現場によっては、条件や環境に応じた情報を図面に掲載する必要があります。例えば、屋内の配管工事の場合は、床上・床下で配管の形状や仕組みが変わるため、図面上でも区別して記載します。
また、浴室やキッチンなど水蒸気の影響が考えられる場所では、結露対策が必要です。さらに、気温が高い地域の外部に設置する配管にはUV対策を行うなど、周囲の環境に応じて配慮しましょう。
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CAD図面作成を効率化する方法
CADソフトは、図面作成を効率化させるために役立つツールです。CADを用いることで正確な図面を短時間で作成できます。線や点、寸法など図面に必要な要素があらかじめ用意されており、効率的に図面に情報を落とし込むことが可能です。
また、よく使う記号を登録しておけば、必要なタイミングでいつでも呼び出して使えるため、業務効率化を促せます。
まとめ
配管記号は、水道工事などの配管図に使われる重要な要素です。図面に記載されている配管の構成や設備の位置関係といった情報を読み取る上で、意味を理解しておく必要があります。
よく使う配管記号を一覧にしてCADに登録しておくことで、作図作業の効率化につながります。また、工事内容や分野に特化したCADソフトの導入により、図面や書類の作成にかかる時間や手間を削減できるでしょう。
CAD図面の配管記号についてよくある質問
CAD図面で使われる配管記号にはどのようなものがありますか?
CAD図面で使われる頻度の高い配管記号には、以下があります。
- 記号要素:配管や計測機器
- 機能要素:流体の流れる方向など
- 継手(接続方法):ねじ込み接続や突合せ溶接
- バルブ(弁)
ただ、企業や現場によっては独自の記号が決められている場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
配管図面の種類は?
配管図と呼ばれる図面には、配管設備の構成要素を示す「配管系統図」と、「構成部品一覧表」の2つで構成されています。配管系統図と構成部品一覧表を見比べながら、情報を読み解いていきます。
配管系統図では構成部品を記号で記載し、使用機器の詳細情報を構成部品一覧表に記すのが一般的です。もしくは、バルーンと呼ばれる引き出し線の内部に書き込むこともあります。配管系統図には、配管内流量や圧力といった設備仕様も記載されます。
CADの配管図面に現場調査の情報を掲載しますか?
CADで配管図を作成する前には、現場調査が欠かせません。工事現場にて施主(依頼主)から希望や要望をヒアリングし、現状の困りごとや改修箇所を確認します。続いて、現場で測定作業を行い、配管ルートや設置位置、線径、取り付け高さなどの情報を収集します。
測量作業が終了したら、データを基に配管図を立ち上げていきます。
水道工事における配管図面の役割は?
水道工事では、水の通り道を示す配管図が重要な役割を担っています。配管図では、清潔な水を運ぶ上水道や、使い終った水を運ぶ下水道の位置を正確に示します。
一般的な設計図として使われる俯瞰視点の平面図では情報が足りない場合があり、水道工事では配管図を設計図としても機能させるケースも見られます。
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