配管工事は、住宅やビルなどさまざまな場面で必要不可欠な配管を扱う工事です。電気、水、ガスなどのリソースを供給し、不要なものを排出する上で、配管の設置工事や修繕工事は重要な役割を担っています。
本記事では、配管工事の種類や流れ、配管工に必要な資格などについて解説します。私たちの生活に欠かせないインフラを支える配管工事について理解を深め、現場作業に活かすために参考にしてください。
配管工事とは?
配管工事とは、建物や地中に通す配管を設置する工事の総称です。液体・気体・固体、エネルギーなどを輸送するパイプ、ホースに加えて、バルブや計器などを建物や設備にて設計、導入する工事全体を指します。
日常暮らしている家屋やマンションで使うガス、水、電気などの供給をはじめ、煙や下水の排出、空気の入れ替えなど、配管は幅広い用途で利用されています。必要な配管を天井裏や床下、パイプスペースといった目立たない箇所に設置し、快適な生活や産業の活性化を支えるのが配管工事の役割です。
配管工事の種類
配管工事は、配管の利用用途や目的、方式などによって主に5種類に分類されます。ここでは、それぞれの工事の特徴を詳しく紹介します。
ガス配管工事
ガス配管工事は、住宅や店舗などでガスを供給するためのパイプ、メーターの設置を行う工事です。ガスの配管自体は人目に着かない壁裏などに通されますが、万が一ガス漏れなどが発生すれば爆発や火災など重大な事故につながる可能性があり、高い施工品質が求められます。
なお、医療現場で取り扱う酸素や窒素、笑気などのガスを送り込む配管工事は、医療ガス配管工事と呼ばれます。
衛生配管工事
衛生配管工事は、衛生設備に水を運ぶ配管を扱う工事です。トイレや浴室、キッチン、洗面所などで使うための水を水道本管から家庭に引き込む水道工事や、排出された汚水を下水道本管に流し込む下水工事が含まれます。
飲料用の水や雑用水の給水管だけでなく、給湯器などから熱湯を供給する給湯管も設置します。インフラの中でも水道設備は私たちの生活の衛生と健康に欠かせないため、地域を管轄する自治体によって管理されています。
空調配管工事
空調配管工事は、ビルや住居などの空調設備に関する配管工事です。中高層ビルなどで建物内の空気の浄化や温度・湿度、流量の調節を行うために、天井や壁裏、床下に配管やダクトを敷設します。
建物の規模が大きいほど、ボイラーや冷凍機から各部屋の空調機へ冷水・温水、蒸気などを供給する配管、設備が複雑になります。ビルだけでなく、一般家庭における一括空調システムにも空調配管工事が必要な場合があります。
防災設備配管工事
防災設備配管は、消火設備から水を供給するための配管工事です。消防法によって規定された条件に該当する中高層ビルなどにおいて、火災発生時に初期消火を行うことを目的としたスプリンクラー(散水式の自動消火設備)や、屋内消火栓を設置する際に行われます。
具体的には、ビルなどの屋上給水塔から各フロアに渡るパイプなどです。短時間に大量の水を運べるよう、圧力に耐えられる材質の配管を選ぶ必要があります。
プラント配管工事
プラント配管工事とは、各工場においてさまざまな物質の供給や排出に使用されるパイプを敷設する工事です。化学工場や食品工場、鉄工所など、各工場で扱う幅広い物質や蒸気などに合わせて配管を設置します。
中には、化学反応に必要な原料など特殊な物質を扱う場合もあり、高度な技術や知識を要します。また、薬品や人体に害のある気体を通すパイプの場合、安全性へ配慮し、慎重に進める必要があります。
配管工事の流れ
配管工事は、種類や現場規模などによって、具体的な手順や工程は大きく変わります。ここでは、一般的な配管工事の流れをステップごとに紹介します。
1. 使用する材料を選んで搬入する
用途や設置場所の状況などに合わせて、適切な材質の配管(金属や樹脂など)を選びます。水道工事の場合は、洗面台やバスタブなどの搬入や、配管・設備の設置後のコーキングやシーリングもまとめて行う場合があります。
作業前に資材を搬入する場合は、資材置場からはみ出ないように留意します。
2. 工事の全体像や箇所を確認する
施工図面などを見て、配管工事の全体像や工事箇所を確認します。配管を設置する箇所の寸法を測定し、採寸後は必要に応じて配管を曲げる角度などを計算しておきます。
配管の位置を考える際には、将来の点検やメンテナンス、交換がしやすい場所が理想的です。排水配管は必要な勾配を確保できるよう優先的に配慮する必要があります。現場で電気など他の設備との兼ね合いについて、施工者と現場で打ち合わせながら進めるケースも見られます。
3. 配管を調整・設置する
配管パイプを設置するために、管径や長さを確かめ、切断、接合を行います。現場で配管の切り寸を再度計算し、再加工する場合もあります。切断した管を接続する際には、溶接やねじ込みなどを行います。
管を接合した後は、支持金具の取り付けやスリーブの埋め込みを行い、配管を固定します。設置が完了したら、圧力試験を行い、漏れがないかを確認して完了です。
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配管工事を行うのに必要な資格
配管工事を行う配管工として働く上で、必須となる資格はありませんが、現場作業に必要な専門知識や技術を身につける上で役立つものはいくつかあります。ここでは、4つの目指すべき資格を紹介します。
配管技能士
配管技能士は、技能検定に合格した人が名乗ることができる国家資格です。一般的な建設現場での配管工事向けの「建築配管作業」と工場などプラント系の配管工事向けの「プラント配管作業」の2種類に分かれます。
配管工事の現場作業に必要な技能や図面の読み方などを身につけられる試験で、勉強内容は現場でそのまま役立ちます。合格後には、エアコン工事や水まわり設備機器の設置、配管新設・修繕工事などの仕事を担当可能です。
管工事施工管理技士
管工事施工管理技士も、配管技能士の上位資格に該当する国家資格です。配管工事での実践的な知識や技術だけではなく、配管工事の現場で施工や工程、安全の管理など配管工事の責任者としての知識も問われます。
1級と2級がありますが、いずれも卒業した学校の種類に応じて一定以上の実務経験を要します。
給水装置工事主任技術者
給水装置工事主任技術者は、給水設備の工事には必須となる国家資格であり、水道や排水など衛生設備の配管工事などでは、取得しておくと役立つ資格です。
各自治体から水道工事を受注する指定事業者に認定されるためには、給水装置工事主任技術者が必要なため、企業にとって重要な人材です。なお、抗工事施工管理技士の資格を持つ場合は、一部試験科目が免除されます。
建築設備士
建築設備士は、工事管理や建築設備の設計について建築士にアドバイスするための国家資格です。試験では、空調、換気、給排水衛生、電気など建築設備全般に関する知識や技能が問われます。
国家資格とはいえ独占資格ではありませんが、建築現場のスムーズな工事進行にとって重要な存在です。建築士が建築設備士のアドバイスを受けた上で設計や工事監理を行った場合には、建築確認申請書等などに明記するよう義務付けられています。
まとめ
生活に欠かせないインフラの供給・排出に必須となる配管を設置、調整する配管工事は、用途や工事規模などの種類があります。配管工事自体は資格がなくても行えますが、受験勉強を通して実務に必要な技術や知識を得られます。また、活躍の幅が広がる可能性もあるので、必要な資格取得を検討してみるのもよいでしょう。
また、配管工事で使用する図面を作成する際には、CADソフトの使用がおすすめです。図面に関する作業を効率化でき、生産性の向上や業務負担の軽減を後押しする、専用CADソフトの導入も検討してみてはいかがでしょう。
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