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水道工事業者が活用できる業務改善助成金とは?対象経費や活用事例を解説

業務改善助成金の申請方法 補助金・助成金

業務改善助成金は、中小企業や小規模事業者の賃金引き上げを支援する制度です。

政府は賃金の引き上げや労働環境の改善に向けた取り組みを行っているものの、企業側としては生産性が高まらないことには賃金を上げることができないでしょう。

そこで注目したいのが業務改善助成金の活用です。

この記事では、業務改善助成金の概要、申請方法、助成金の活用事例を解説します。

業務改善助成金とは?

業務改善助成金とは、中小企業・小規模事業者の生産性向上に関わる支援をするための制度です。

「職場環境の改善」や「雇用の促進」など、主に福利厚生に関する取り組みへの支援を目的としています。

具体的には、生産性向上を目的とした設備導入、業務改善のためのコンサルティング依頼、人材育成にかかる研修などの取り組みを行いつつ、事業場内最低賃金を引き上げた事業主を支援する助成金制度です。

事業場内最低賃金とは、事業場における最も低い時間給を指します。

たとえば「生産性向上を実現したいものの、そのための設備導入に必要な資金調達が難しい」といった場合に活用できます。

助成額は、設備投資などの費用に助成率をかけた金額と助成上限額を比べ、安いほうの金額が支給されます。

助成上限額は各種条件によって異なるものの、最大で600万円まで支援されるため、労働環境を大きく改善させて事業の成長につなげることが可能です。

確実に助成金を受け取るためにも、対象事業者や対象経費を確認したうえで、正しく申請しましょう。

業務改善助成金の対象事業者・助成上限額・対象経費

ここでは、業務改善助成金について理解を深めるために、対象事業者・助成上限額・対象経費について詳しく見ていきましょう。

対象事業者

業務改善助成金の対象となる事業者は、以下の要件をすべて満たしている必要があります。

  • 中小企業・小規模事業者である
  • 事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内である
  • 解雇、賃金引き下げなどの不交付事由がない

中小企業・小規模事業者とは、以下の要件に当てはまる業種のことです。

業種資本金または出資額常時使用する労働者
小売業(小売業、飲食店など)5,000万円以下50人以下
サービス業(物品賃貸業、宿泊業、医療、福祉、複合サービス事業など)5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他の業種(農業、林業、漁業、建設業、製造業、運輸業、金業など)3億円以下300人以下

また、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であることも条件です。

たとえば、事業場がある地域の最低賃金が900円の場合、事業場の最低賃金が960円となっているケースでは申請できません。

さらに、交付要綱第4条第5項で定める不交付要件に該当する場合も対象外です。

助成上限額

助成上限額は、申請コースごとに区分が定められており、それぞれ引き上げる労働者数と最低賃金額によって変わります。具体的な金額は以下の通りです。

コース区分事業場内最低賃金の引き上げ額引き上がる労働者数助成上限額
事業場規模30人以上の事業者事業場規模30人未満の事業者
30円コース30円以上1人30万円60万円
2~3人50万円90万円
4~6人70万円100万円
7人以上100万円120万円
10人以上120万円130万円
45円コース45円以上1人45万円80万円
2~3人70万円110万円
4~6人100万円140万円
7人以上150万円160万円
10人以上180万円180万円
60円コース60円以上1人60万円110万円
2~3人90万円160万円
4~6人150万円190万円
7人以上230万円230万円
10人以上300万円300万円
90円コース90円以上1人90万円170万円
2~3人150万円240万円
4~6人270万円290万円
7人以上450万円450万円
10人以上600万円600万円

助成を受けるには、すべての労働者の賃金を新しい事業場内最低賃金以上にすることがルールとなっています。

たとえば、事業場規模30人以上の事業所における事業場内最低賃金が900円で、30円コースを申請する場合で考えてみましょう。

仮に事業所内に900円と910円の賃金で働いている労働者が1人ずついた場合、どちらも930円以上にする必要があり、助成上限額は上の表から50万円となります。

ただし、すでに930円の労働者の賃金を30円上げて960円にした場合は人数にカウントされません。

なお、10人以上の上限額区分は特例事業者が対象です。

特例事業者とは、以下に挙げる賃金・生産量・物価高騰要件のいずれかに当てはまる事業者を指します。

  • 賃金要件:申請する事業場の事業場内最低賃金が950円未満の事業者
  • 生産量要件:新型コロナウイルス感染症の影響を受け、売上高や生産量などの事業活動を示す指標の直近3か月間の月平均値が、前年、前々年または3年前の同じ月と比較し、15%以上減少している事業者
  • 物価高高騰等要件:原材料費の高騰をはじめとする外的要因の影響を受け、申請前3か月間のうち、任意の1か月の利益率が、前年の同じ月よりも3%ポイント以上低下している事業者

対象経費

業務改善助成金の対象となる経費は、大きく分けると生産性の向上や労働能率の増進につながる設備投資などが該当します。

たとえば、飲食店で在庫管理の効率性を高めるためにPOSレジを導入する費用、マンパワーで包装まで行っていた食品工場が生産性アップを目的として包装機械を導入する費用などが該当します。

また、前述した生産量要件と物価高高騰等要件に該当する場合は、助成対象経費の範囲が広がり、貨物自動車やIT機器などの導入にも利用可能です。

業務改善助成金の申請方法

業務改善助成金を申請するには、交付申請書(様式第1号)と事業実施計画書を作成したうえで、事業所を管轄する労働局長に提出する必要があります。

交付申請書の作成は、事業の目的や内容、申請金額などを詳細に記載しなければなりません。

そのため、申請前に設備投資に必要な金額を見積もっておきましょう。

事業実施計画書は、業務改善計画や賃金引上計画の作成が必須となっており、記入箇所が多く煩雑に感じる人もいるかもしれません。

厚生労働省では、申請書と事業実績報告書・支給申請書を簡単に作成できる簡易作成ツールを配布しています。業務改善助成金交付申請書等の書き方も公開しているので活用しましょう。

業務改善助成金の申請受付は、各都道府県の労働局雇用環境・均等部室が対応しています。

申請後に審査のうえ交付または不交付が決まりますが、交付決定の通知が届く前に業務改善計画を進めたり、助成対象経費を支払ったりした場合は助成対象とならないので注意しましょう。

また、令和5年度の申請締切は令和6年1月31日です(郵送の場合は必着)。

助成金は予算があらかじめ決まっているという性質上、申請期間内に募集を締め切る可能性がある早い者勝ちの制度です。

申請を検討する場合は、できるだけ早めに結論を出して行動しましょう。

業務改善助成金の申請スケジュール

ここでは、業務改善助成金を申請する際の流れを解説します。ステップごとの注意点も押さえておきましょう。

1.助成金交付申請書を提出 する

業務改善計画と事業場内最低賃金の引き上げ計画を記載した事業実施計画書を作成し、交付申請書と一緒に事業場を管轄する都道府県労働局に提出します。

提出する際は記入漏れがないか十分にチェックしましょう。

また、申請前3か月分の賃金台帳の写し、設備投資など助成対象経費の見積書などの添付が必要です。

2.助成金交付決定通知が届く

提出した書類について、労働局で審査を行います。

場合によっては、追加の資料提出や内容確認を求められる場合があるので対応しましょう。

内容に問題がなければ、申請者に助成金の交付決定通知が送付されます。

3.業務改善計画と賃金引上計画を実施する

交付の決定が決まったら、業務改善計画に基づいた設備投資、賃金引上計画に基づいた事業内最低賃金の引き上げを進めます。

交付決定通知書の助成金額や業務改善計画の内容など、申請の内容に変更が生じる場合は、事前に計画変更申請書を労働局に提出し、承認を受ける必要があります。

4.事業実績報告書および支給申請書を提出する

業務改善計画の実施結果と賃金引上げ状況を記載した事業実績報告書と、助成金支払いのための支給申請書を作成し、各都道府県労働局に提出します。

提出にあたっては、「中小企業最低賃金引上げ支援対策費補助金(業務改善助成金)申請マニュアル」内にある「交付申請チェックリスト」を確認しながら進めると漏れを防止できます。

5.助成金額の確定通知が届く

提出した書類の審査を行い、内容に問題がなければ交付額が確定し、申請者に通知されます。

6.支払請求書を提出する

助成金の交付額確定通知を受け取った後、所定の様式で支払請求書を作成して労働局に提出すると、後日、助成金が支払われます。

7.賃金支払い状況などを報告する

助成金の支払から一定期間の経過後、所定の様式を使って期間内の賃金支払い状況などを労働局に報告する必要があります。

状況報告までの確認期間において、解雇や賃金の引き下げなどを行っている場合は、交付決定の取り消しや助成金の返還を求められる可能性があります。

業務改善助成金の活用事例

実際に業務改善助成金をどのように活用しているのか、いくつかの事例を紹介します。水道事業者の業務改善にも活用できるので、事例をヒントにして検討しましょう。

建設業の事例

建設業では、従業員のスキルや意識の向上を目的に業務改善助成金を活用しているケースが見られます。

ある企業では、助成金を活用して経営コンサルタントによる従業員教育と社内研修を実施したところ、従業員のスキルアップにつながり、作業内容の改善や労働能率の向上につながっています。

飲食店の事例

手作業によるレジ作業や集計作業を効率化させるために助成金を活用した飲食店では、多機能レジスターを導入するとともに、IT研修も行いました。

従業員がスキルアップでき、管理業務の短縮だけでなく、サービススキルの向上も実現しています。

通所介護施設の事例

デイサービスを行う通所介護施設は、利用者の送迎に時間がかかったり、複数の従業員が対応したりするなどコストがかかる業種です。

業務改善助成金の活用により、リフト付きの福祉車両を購入した結果、送迎にかかる人員と時間を削減できました。

金属製造業の事例

ある金属工場では、マンパワーに頼る工程管理や生産管理を行っていたため、ミスの発生や人件費が問題となっていました。

業務改善助成金を活用できたことで管理システムを導入でき、ミスの削減とともに利益率の向上につながっています。

パン・菓子製造業の事例

食品の加工、軽量、製造を手作業で行っていたため、商品クオリティの低さと人件費の高止まりが問題となっていました。

業務改善助成金を活用したことで製造機器への投資ができ、品質と作業効率の両方を高めることができています。

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まとめ

業務改善助成金は、設備投資をはじめ、コンサルティングの導入や人材育成を行いつつ、事業場内最低賃金をルールに従って引き上げた場合に受け取れる助成金です。

今まで課題となっていた事柄を一気に解決し、従業員満足度の向上とともに利益向上も目指せる可能性があります。

たとえば、水道工事の見積もりを手動で行っている場合、助成金を活用してシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

システムの導入により、正確な見積もりを短時間で作成できるので、しっかりと利益を出せるようになり、従業員の負担も減らせます。

ただし、業務改善助成金は令和6年1月31日が申請の締め切りとなっており、予算が無くなり次第終了します。

今回紹介した内容を参考に、なるべく早い段階で申請できるように準備を進めましょう。

 

業務改善助成金についてよくある質問

Q:すでに賃金を引き上げているのですが申請できますか?

A:事業場の規模が50人未満の場合、事業場内最低賃金を引き上げた後でも申請することが可能です。

ただし、業務改善助成金の対象事業者であることに加え、賃金を引き上げたタイミングが令和5年4月1日から12月31日の間であることが条件となっています。

申請時には、賃金を引き上げた事実を確認できる書類が必要です。

Q:助成率は時間給によって違いがあるのでしょうか?

A:助成率は、申請する事業場の引き上げ前の事業場内最低賃金によって区分されています。

事業場内最低賃金が900円未満の場合は9/10、900円以上950円未満は4/5(生産性要件に該当する場合は9/10)、950円以上は3/4(生産性要件に該当する場合は4/5)となります。

Q:広告宣伝費は助成対象経費になりますか?

A:助成対象経費は、生産性や労働能率の向上を目的とした設備投資などにかかった費用です。

広告宣伝費をはじめ、事務室の机や椅子を増設したり、汎用事務機器を購入したりする場合は「関連する経費」という区分になり、これだけで申請することはできません。

ただし、特例事業者として認められると、「関連する経費」を対象経費となる設備投資などと一緒に申請することが可能です。

また、貨物自動車やパソコン・携帯端末など、通常は助成対象とならない経費についても、特例事業者になると認められます。

Q:事業完了期限までに間に合わない場合はどうすれば良いですか?

A:令和5年度に交付決定が合った事業については、令和6年2月28日までに完了する必要があります。

どうしても間に合わない場合は、理由書を添えて申請することで事業完了期限を3月31日まで延長される可能性があります。

ただし、延長される可能性があるのは、導入する設備が外的要因により遅延するなど「やむを得ない」理由がある場合のみです。

自社の都合で事業完了が遅れるケースでは、認められない可能性があるので注意しましょう。

Q、給排水いずれかの図面を作成して自治体等へ申請をしていますか?

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