- 2024年08月08日
電気工事と電気通信工事の違いとは?
電気工事と電気通信工事の違いのひとつに、それぞれに必要な資格が挙げられます。
しかし、工事の範囲を見ていくと、電気通信工事に関わる部分でも電気工事で可能な範囲もみられます。
電気工事では、電気通信工事ができるところとできない部分に細かく分かれています。混同してしまうと思わぬトラブルを招くかもしれません。
そこで、電気工事と電気通信工事の違いについて解説します。
また、必要な資格やそれぞれにできることについても説明します。
コンテンツ
電気工事に必要な資格と取得方法
電気工事を仕事として行うには資格が必要です。
電気工事を行うための資格には「電気工事士」と「電気主任技術者」などが挙げられます。
どれも国家資格で、受験にはそれぞれに要件があります。
「電気工事士」は電気工事士法によって定められている資格で、第1種電気工事士と第2種電気工事士の2つに分かれています。難易度が高いのは第1種電気工事士のほうで、筆記試験と技能試験のいずれも合格しなければなりません。
また、受験に合格できても「電気工事士」の免状を交付されるには、合格後3年〜5年の実務経験が必要です。
第2種電気工事士のほうは難易度が低く、高校や大学などで電気工学を終了しているなど、いくつか要件を満たしていれば筆記試験が免除になります。
「電気主任技術者」には1種と2種、そして3種があります。
「電気主任技術者」も1種が最も難易度が高く、受験に合格した後に一定の実務経験を経て、「電気主任技術者」としての免状が交付されます。
電気工事の基本的な仕事内容とは?
「電気工事士」の資格を持っていると、一般住宅はもちろん、500キロワット未満であればビルや工場などの電気工事まで行うことができます。
ただし、それは第1種電気工事士を持っている場合で、第2種電気工事士の場合は一般住宅または小規模な店舗などの工事に限定されます。
コンセントの移設や増設などの簡単な工事でも、第2種工事士の資格が必要です。
「電気主任技術者」は、ビルや工場などのほか、発電所や変電所での作業に従事できます。
1種は2種と3種も含めたすべての電気工作物を扱えますが、2種は17万ボルト未満の電圧の工作物、3種ならそれより下の5万ボルト未満の工作物という具合に分かれます。
電気通信工事に必要な資格と取得方法
電気通信工事に必要な資格には「電気通信主任技術者」があります。
「電気通信主任技術者」は、電気通信事業法第48条に沿った国家資格です。
電気通信工事業の重要性とそれに伴う技術者の育成や確保を目的に、国土交通省によって国家資格として創設されました。
「電気通信主任技術者」は、伝送交換主任技術者試験と線路主任技術者試験の2つに分かれています。
いずれも、受験するには「日本データ通信協会」で行っている試験への申し込みが必要です。
申し込みはインターネットで可能ですが、試験は北海道から沖縄までの全15カ所で行われます。
参考サイト:日本データ通信協会
電気通信工事の基本的な仕事内容とは?
電気工事と電気通信工事の大きな違いは必要な資格ですが、基本的な工事の内容ももちろん違います。
電気通信工事は主に、「有線電気通信設備」に「無線電気通信設備」「データ通信設備」、そして「放送機械設備」などの電気通信設備の工事のことです。
工事の内容としては、「電気通信線路設備工事」や「放送機械設備工事」、「電気通信機械設置工事」などがあります。
そのほかにも「データ通信設備工事」や「情報制御設備工事」なども挙げられます。
一般家庭や一般の会社などの場合で言えば、ネット回線や電話回線の配線とそれに伴う設備に関する工事が主です。
LAN回線の工事なども、もちろん電気通信工事に含まれます。
電気工事としてできる電気通信工事の範囲とは?
電気通信工事を目的にしたものでも、部分的に電気工事を必要とするものはでてきます。
例えば、送配電線の設置や屋内の内線工事に関しては、一般の電気工事で行うことになります。
しかし、電気通信工事に分類されるもので電気工事と混同しやすいものはいくつかあるので注意しましょう。
例えば、インターホン設置工事やアンテナの設置工事、そして防犯カメラの設置工事などがそれにあたります。
また、コンピュータなど情報処理を行う機器の設置工事も、電気通信工事として扱われます。
このような区分は、電気工事や電気通信工事を行う事業者でも、なかには混同する人もみられます。
工事を依頼してくる顧客の場合はさらにわかりにくい部分ではないでしょうか。
工事を請ける側として、混同しないことが重要といえます。
しかし、電気工事と電気通信工事のどちらもできるようにしておくと、仕事の幅が広がる可能性は出てきます。
必要な工事の図面や材料選びを的確に出して作業を正確に!
電気工事も電気通信工事も、それぞれに専門の知識と経験、そして資格が必要な仕事です。
仕事内容や区分の違いはありますが、建設現場では協力して工事を行う部分も出てくるもので、まったくの無関係ではありません。
電気工事を専門として請ける場合でも、電気通信工事に関する知識を多少でも有していることは仕事に有利といえます。
電気工事と電気通信工事を混同しないことは大切ですが、協力の必要がある場合にはどこまでが電気工事の範囲か正しく把握して工事を行いましょう。
電気工事の部分に当たる正確な図面作成や、必要な材料を的確に選んでいくことがポイントです。
手書き図面で時間を取られる場合や材料を選ぶのに手間取る場合には、スピーディーに対応できる電気CADの導入を検討するのもいいかもしれません。
電気工事と電気通信工事の基本的な違いを押さえ、それぞれの専門知識や資格でできる範囲を把握して適切に工事を行いましょう。