- 2024年08月08日
電気工事士として独立する際に知っておきたい基本情報
電気工事士は建設業界や設備管理業界などで需要の高い資格で、比較的取得のしやすい国家資格でもあり受験者数が安定して増加傾向にある人気資格です。第2種電気工事士を取得して建設業界や設備管理業界でキャリアを積む方が多く、3年、5年と経験を積んでいくと第1種電気工事士の免状取得、そして独立開業するといったキャリアアップの道も開けてきます。ここでは電気工事のキャリアアップの中でも大きなチャレンジとなる「電気工事士の独立開業」についての基本情報をご紹介していきましょう。
コンテンツ
「電気工事士の独立開業」に必要な条件について
まずは電気工事士として自分の事業所を開いて独立開業するための条件を確認しておきましょう。独立開業は電気工事士の免状を持っていればいつでもできるというわけではなく、いくつかの条件をクリアする必要があります。まず第1の条件は「第2種電気工事士の資格を取得し、免状交付後に3年以上の実務経験を積むこと」です。独立開業する場合は勤務していた会社から勤務記録の証明書を発行してもらう必要があります。
そして次に必要となる条件が「登録電気工事業者として県知事登録申請をする」ということです。申請は各都道府県の電気担当窓口などに対して行う必要があります。手続きの該当要件や添付書類などの必要書類は複雑で、都道府県ごとに細かく違うことがありますので、行政書士などの専門家に依頼して手続きをすることが多いです。登録の有効期限は5年ですので、登録後5年経過すると更新手続きを行うことになります。
このように電気工事士の開業には最低限、「第2種電気工事士の免状取得+3年の実務経験」「各都道府県知事への電気工事業者登録」が必要です。ただし第2種電気工事士の資格だけでは施工可能となる電気工作物が法的に制限されてしまうので、実際の独立開業では非常に仕事の幅が狭くなってしまいます。できれば第1種電気工事士の免状があればよいのですが、ない場合には「認定工事従事者」の資格申請をすると、業務の範囲が広がるので非常に有効です。認定工事従事者の資格は、第2種電気工事士取得後3年の実務経験があれば認定講習なしに資格申請ができますので、第2種電気工事士の資格保有者が独立するにはとてもメリットのある資格といえるでしょう。
独立開業の資金の目安は?
さて手続き上の条件はクリアできたとして、実際に独立開業する上で何よりも重要になってくるのは開業資金です。たとえ1人で開業する場合であっても事業を新たに始めることになるので、一定の設備投資資金、仕事が軌道に乗るまでの活動資金、そしてこまごまとした経費や営業のための資金など、多くの場面で資金が必要になってきます。自家用車と登録にかかる費用、必要最小限の工具だけで独立開業すれば少額でも開業可能でしょうが、事業が軌道に乗る前にたちまち資金的な余裕がなくなることが多いので、あまりに少額での独立開業はおすすめできません。いくらくらい貯めたら独立できる、という明確な基準はありませんが、法人として電気工事士としての開業をした場合に受けられる公的な助成金である「受給資格者創業支援助成金」の需給条件は、「事業資金が口座に500万円以上あること」となっています。法人の場合でなくとも営業資金や生活費、設備費用などを総合すると500万円前後の資金力がないと事業を軌道に乗せることは難しいという印象です。
独立開業成功のカギは?
電気工事士としての独立開業で成功のカギとなるのは「電気工事技術者としての腕前」よりも「仕事を取ってくる能力」、つまり「営業力」です。これはどの業種の独立開業にも言えることで、電気工事士も例外ではありません。電気工事士として独立して成功している人の多くは、この「営業力」に長けている、あるいは特に力を入れてきた方が多いです。といっても最初のうちからバンバン顧客を獲得できるということは難しいので、事業が軌道に乗るまでは、それまでに勤めていた会社で培った人脈がモノを言います。成功している方には以前勤めていた会社の下請けから始めるというパターンも多いので、独立開業前の人脈や見込み客との関係構築なども重要です。
また独立開業された方の多くが口にするのは「時間のなさ」です。勤めていた時とは違い、独立すれば工事の施工だけをすればいいわけではありません。営業活動や経理、顧客管理など全て自分でやらなければならないので、開業後に新たに資格の勉強をするなどといった時間はありません。資格に関しては第1種電気工事士は取得しておくべきという声が多数ありますので、独立開業を考えている方は開業資金を貯めることと並行して、独立前に必要となる資格を取得するなどの準備をしておきましょう。
仕事を効率化することも独立開業では必須!
独立開業では基本的にすべての業務を自分でこなさなければなりませんので、こまごまとした点で作業ツールを導入するなどで仕事の効率化を図る必要があるでしょう。特に必須となる経理業務に関しては、電気工事士の方の専門外になるので苦手な方が多く、1人親方として開業する場合には、奥さんや家族に経理業務をしてもらうということが多いようです。家族にもともと経理のスキルがあればよいのですが、ない場合は商工会などの講習を受けてもらって基本的な帳簿のつけ方、会計記帳のやり方を身につけてもらいましょう。なかでも重要なのはエクセルを使いこなすスキルです。エクセルを使いこなせれば記帳業務に関してはほぼ問題なく、効率的に業務ができるようになりますので、経理を手伝ってもらう際には優先的にエクセルの使い方をマスターしてもらいましょう。
また施工業務自体でも効率化を図る必要があります。いまだに電気工事士の方の中には、施工の際に紙の上に配電図などを引く方も多いのですが、手間もかかるうえに不正確になることも多いです。できればこうした施工管理に関する情報もIT化していきたいところです。
特に1人や少数で独立開業される場合には、建物の設計図や測量データを使用して配電図や施工計画を立てる場合に、CADなどを自分で使いこなせると非常に効率よく作業が進んでいきます。CADを使いこなす技術自体は初歩的なレベルでも電気工事を行う上では十分ですから、できれば開業準備段階でCADの基本的な使用方法をマスターしておくのがおすすめです。
CADに関しては無料、有料問わず、充実した機能を持つものが多くあります。例えばプラスバイプラスから出ている「plusCAD電気α」では、マウス操作だけで設計図を作成できてワンタッチで見積り書を作成できるなど、図面作成や書類作成に不慣れでも正確な必要書類を素早く準備できるようになっています。電気工事士としての資格をしっかり備え、初期資金を確保し営業力を鍛えて、さらに作業や業務の効率化を図りスムーズに業務をこなせるようにしておけば、小規模での独立開業にとって大きなアドバンテージとなるでしょう。
電気工事士として独立する際に知っておきたい基本情報についてよくある質問
「電気工事士の独立開業」に必要な条件について
まずは電気工事士として自分の事業所を開いて独立開業するための条件を確認しておきましょう。独立開業は電気工事士の免状を持っていればいつでもできるというわけではなく、いくつかの条件をクリアする必要があります。まず第1の条件は「第2種電気工事士の資格を取得し、免状交付後に3年以上の実務経験を積むこと」です。独立開業する場合は勤務していた会社から勤務記録の証明書を発行してもらう必要があります。そして次に必要となる条件が「登録電気工事業者として県知事登録申請をする」ということです。申請は各都道府県の電気担当窓口などに対して行う必要があります。手続きの該当要件や添付書類などの必要書類は複雑で、都道府県ごとに細かく違うことがありますので、行政書士などの専門家に依頼して手続きをすることが多いです。登録の有効期限は5年ですので、登録後5年経過すると更新手続きを行うことになります。
このように電気工事士の開業には最低限、「第2種電気工事士の免状取得+3年の実務経験」「各都道府県知事への電気工事業者登録」が必要です。ただし第2種電気工事士の資格だけでは施工可能となる電気工作物が法的に制限されてしまうので、実際の独立開業では非常に仕事の幅が狭くなってしまいます。できれば第1種電気工事士の免状があればよいのですが、ない場合には「認定工事従事者」の資格申請をすると、業務の範囲が広がるので非常に有効です。認定工事従事者の資格は、第2種電気工事士取得後3年の実務経験があれば認定講習なしに資格申請ができますので、第2種電気工事士の資格保有者が独立するにはとてもメリットのある資格といえるでしょう。
独立開業の資金の目安は?
さて手続き上の条件はクリアできたとして、実際に独立開業する上で何よりも重要になってくるのは開業資金です。たとえ1人で開業する場合であっても事業を新たに始めることになるので、一定の設備投資資金、仕事が軌道に乗るまでの活動資金、そしてこまごまとした経費や営業のための資金など、多くの場面で資金が必要になってきます。自家用車と登録にかかる費用、必要最小限の工具だけで独立開業すれば少額でも開業可能でしょうが、事業が軌道に乗る前にたちまち資金的な余裕がなくなることが多いので、あまりに少額での独立開業はおすすめできません。いくらくらい貯めたら独立できる、という明確な基準はありませんが、法人として電気工事士としての開業をした場合に受けられる公的な助成金である「受給資格者創業支援助成金」の需給条件は、「事業資金が口座に500万円以上あること」となっています。法人の場合でなくとも営業資金や生活費、設備費用などを総合すると500万円前後の資金力がないと事業を軌道に乗せることは難しいという印象です。
独立開業成功のカギは?
電気工事士としての独立開業で成功のカギとなるのは「電気工事技術者としての腕前」よりも「仕事を取ってくる能力」、つまり「営業力」です。これはどの業種の独立開業にも言えることで、電気工事士も例外ではありません。電気工事士として独立して成功している人の多くは、この「営業力」に長けている、あるいは特に力を入れてきた方が多いです。といっても最初のうちからバンバン顧客を獲得できるということは難しいので、事業が軌道に乗るまでは、それまでに勤めていた会社で培った人脈がモノを言います。成功している方には以前勤めていた会社の下請けから始めるというパターンも多いので、独立開業前の人脈や見込み客との関係構築なども重要です。
また独立開業された方の多くが口にするのは「時間のなさ」です。勤めていた時とは違い、独立すれば工事の施工だけをすればいいわけではありません。営業活動や経理、顧客管理など全て自分でやらなければならないので、開業後に新たに資格の勉強をするなどといった時間はありません。資格に関しては第1種電気工事士は取得しておくべきという声が多数ありますので、独立開業を考えている方は開業資金を貯めることと並行して、独立前に必要となる資格を取得するなどの準備をしておきましょう。
仕事を効率化することも独立開業では必須!
独立開業では基本的にすべての業務を自分でこなさなければなりませんので、こまごまとした点で作業ツールを導入するなどで仕事の効率化を図る必要があるでしょう。特に必須となる経理業務に関しては、電気工事士の方の専門外になるので苦手な方が多く、1人親方として開業する場合には、奥さんや家族に経理業務をしてもらうということが多いようです。家族にもともと経理のスキルがあればよいのですが、ない場合は商工会などの講習を受けてもらって基本的な帳簿のつけ方、会計記帳のやり方を身につけてもらいましょう。なかでも重要なのはエクセルを使いこなすスキルです。エクセルを使いこなせれば記帳業務に関してはほぼ問題なく、効率的に業務ができるようになりますので、経理を手伝ってもらう際には優先的にエクセルの使い方をマスターしてもらいましょう。
また施工業務自体でも効率化を図る必要があります。いまだに電気工事士の方の中には、施工の際に紙の上に配電図などを引く方も多いのですが、手間もかかるうえに不正確になることも多いです。できればこうした施工管理に関する情報もIT化していきたいところです。特に1人や少数で独立開業される場合には、建物の設計図や測量データを使用して配電図や施工計画を立てる場合に、CADなどを自分で使いこなせると非常に効率よく作業が進んでいきます。CADを使いこなす技術自体は初歩的なレベルでも電気工事を行う上では十分ですから、できれば開業準備段階でCADの基本的な使用方法をマスターしておくのがおすすめです。CADに関しては無料、有料問わず、充実した機能を持つものが多くあります。例えばプラスバイプラスから出ている電気設計CADソフトでは、マウス操作だけで設計図を作成できてワンタッチで見積もり書を作成できるなど、図面作成や書類作成に不慣れでも正確な必要書類を素早く準備できるようになっています。電気工事士としての資格をしっかり備え、初期資金を確保し営業力を鍛えて、さらに作業や業務の効率化を図りスムーズに業務をこなせるようにしておけば、小規模での独立開業にとって大きなアドバンテージとなるでしょう。