- 2024年02月15日
IT導入補助金とは?申請方法や水道工事業者の活用事例を解説
水道工事に関する知識
IT導入補助金は、小規模事業者の生産性向上を目的とし、 ITツールやソフトウェアの導入を支援する補助金制度です。自社における業務効率化やDX促進に向けて、中小企業がIT関連サービスを導入したい場合に申請できます。
本記事では、IT導入補助金の特徴や申請条件、流れや申請方法などについて解説します。IT導入補助金の水道事業者における活用事例も紹介しますので、ITツールの導入に補助金や助成金を利用したいと考えている企業の経営者や担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
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IT導入補助金とは?
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者を対象とした補助金制度です。生産性の向上に向けたITツールを導入する際に、事業費などの経費の一部に対して補助を受けられます。最新の「IT導入補助金2023」では、以下3つの枠が設けられています。- 通常枠(A・B類型)
- デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
- セキュリティ対策推進枠
それぞれで補助内容が異なりますので、次から詳しく紹介していきます。
通常枠
通常枠は、企業の労働生産性や売上の向上、業務効率化の促進を目的とした分類です。決済・発注関連ソフトや勤怠管理や会計管理に関するシステムなど、幅広いITツールの導入経費を対象としています。水道工事に欠かせない見積積算ソフトや工程管理、施工管理などの関連システムも含まれます。通常枠はさらにA類型・B類型という2つの類型に分けられ、以下のように補助額が異なります。
A類型 | B類型 | |
補助額 | 5万円~150万円未満 | 150万円~450万円以下 |
補助率 | 1/2以内 | 1/2以内 |
補助対象経費 | ・ソフトウェア購入費
・クラウド利用費(2年分まで) ・導入関連費 |
・ソフトウェア購入費
・クラウド利用費(2年分まで) ・導入関連費 |
なお、通常枠ではIT導入支援事業者による申請手続きのサポートが受けられます。
デジタル化基盤導入枠
デジタル化基盤導入枠は、インボイス対応や企業間取引のデジタル化を推進するための「デジタル化基盤導入類型」と、複数社でまとめてITツールを導入する際に申請できる「複数社連携IT導入類型」の2種類があります。デジタル化基盤導入類型は、会計ソフトや決済ソフト、EC機能を持つソフトウェアなどを導入する際に補助が出ます。補助を申請する金額により、以下のように補助率が異なります。
補助額 | (下限額なし)~50万円以下 | 50万円超~350万円 |
補助率 | 3/4以内 | 2/3以内 |
補助対象経費 | ・ソフトウェア購入費
・クラウド利用費(2年分まで) ・導入関連費 ・ハードウェア関連費 |
・ソフトウェア購入費
・クラウド利用費(2年分まで) ・導入関連費 ・ハードウェア関連費 |
デジタル化基盤導入類型では、パソコンやタブレット、レジシステムや券売機も補助対象です。
PC・タブレット等 | レジ・券売機 | |
補助額 | ~10万円 | ~20万円 |
補助率 | 1/2以内 | 1/2以内 |
機能要件 | デジタル化基盤導入類型のITツール使用に資するもの | デジタル化基盤導入類型のITツール使用に資するもの |
複数社連携IT導入類型の場合、デジタル化基盤導入類型の対象経費に含まれる項目であれば、同じ補助額や補助率が適用されます。それ以外は、50万円×グループ構成員数を上限とし、2/3以内の補助率で算出されます。
セキュリティ対策推進枠
セキュリティ対策推進枠は、サイバーセキュリティ対策の強化を目的としています。ハッキングや不正アクセスなどによるサイバーインシデントが原因で、事業継続が困難となるような事態を回避するための対策が対象です。また、サイバー攻撃による潜在的リスクや生産性向上の阻害因子の低減も含まれています。対象経費は、「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているいずれかのサービスです。
- 補助額:5万円~100万円以内
- 補助率:1/2以内
- 補助対象経費:サービス利用料(2年分まで)
申請対象の条件
申請対象となる事業者は、中小企業や小規模事業者ですが、要件を満たしていれば個人事業主でも申請可能です。また、資本金や従業員数などの要件が業種ごとに定められています。例えば、製造業・建設業・運輸業の場合、資本金(資本の額又は出資の総額)が3億円以上、従業員(常勤)が300人以上です。
申請対象とならない事業者の条件についても公式サイトで公表されています。対象外の事業者が申請を行っても、補助金を受けることはできないため注意しましょう。
IT導入補助金の申請方法
IT導入補助金の申請は「GビズIDプライム」上で行います。GビズIDプライムで使用するアカウント(ID・パスワード等)は、「gBizID」ホームページ上で取得可能です。アカウントID発行までに約2週間ほどかかるため、早めに登録手続きを行いましょう。その他、履歴事項全部証明書(発行から3ヶ月以内のもの)や納税証明書などの資料を提出する必要があります。
IT導入補助金の申請の流れ
IT導入補助金の申請手順は、中小企業・小規模事業者と、ITベンダー・サービス事業者とで異なります。また、複数社連携IT導入類型を申請する場合も、申請手順の一部が異なるため注意しましょう。中小企業・小規模事業者のおおまかな申請の流れは、以下の通りです。
- IT導入支援事業者の選定やITツールを選択する
- gBizIDプライムアカウントの取得、SECURITY ACTIONの実施、みらデジの経営チェックの実施を行う
- 交付申請(IT導入支援事業者との共同作成・提出)
- ITツールの発注・契約・支払い(補助事業の実施)
- 事業実績報告
- 補助金交付手続き
- 事業実施効果報告
ITベンダー・サービス事業者の申請手順は、以下の通りです。
- IT導入支援事業者としての登録申請
- ITツールの登録
- ITツールの提案
- 交付申請
- 契約・ITツールの納入
- 事業実績報告
- アフターフォロー
- 事業実施効果報告
IT導入補助金の活用事例
ここからは、実際にIT導入補助金制度の採択を受けた事例を紹介します。岐阜県各務原市の株式会社五月商店は、プロパンガス販売からガス・水道などの住宅設備工事・リフォーム、そして介護用品の販売・レンタルまで幅広い事業を手掛けています。2019年に受け継いだ駐車場管理事業にて、約2,000台の駐車場管理を効率化させる目的でIT導入補助金制度2021(C類型-1)を申請し、採択を受けました。
システムのバージョンアップ費用だけでなく、導入後の研修や導入計画の費用も補助対象であり、2週間にわたって専門講師の講義を実施し、スムーズな運用を実現しています。
まとめ
IT導入補助金制度は、中小企業や小規模事業者が、業務効率化や生産性の向上に向けてITツールを導入したい場合に利用できる補助金です。幅広い業種が対象で、業務管理システムや会計ソフト、勤怠管理ソフト、セキュリティ対策ソフトなどIT関連ツールを導入する際に補助が受けられます。また、インボイス制度の開始に伴い、影響のある事業者にも配慮されています。申請が採択されれば、経費負担を大幅に軽減できる可能性があります。ホームページにて申請手順やスケジュールを確認し、希望する枠や類型へ申請しましょう。
IT導入補助金についてよくある質問
IT導入補助金にはどのような枠・類型がありますか?
IT導入補助金は、「通常枠」「デジタル化基盤導入枠」「セキュリティ対策推進枠」の3つが用意されています。通常枠は、A類型とB類型の2種類があり、補助金額が異なります。デジタル化基盤導入枠は、デジタル化基盤導入類型と複数社連携IT導入類型の2つに分けられます。IT導入補助金の対象経費は何がありますか?
補助対象となるITツールは、事務局が認定したものに限られます。具体的には、以下のような経費です。- ソフトウェア購入費
- クラウド利用料
- 導入関連費
なお、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)は上記に加え、ハードウェア購入費も含まれます。ハードウェア購入費用の対象は、パソコンやタブレット、プリンター、スキャナー、複合機などです。
IT導入補助金の補助率は?
通常枠の補助率は、多くの枠や類型で対象経費の1/2以内です。デジタル化基盤導入枠では、補助額が50万円以下の場合は3/4以内、50万円超~350万円までは2/3以内と決まっています。セキュリティ対策推進枠の「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」掲載のサービスの補助率は、1/2以内です。IT導入補助金の申請方法は?
IT導入補助金の申請はすべて「GビズIDプライム」を利用します。GビズIDプライムで使用するアカウント情報は、「gBizID」ホームページ上で取得可能です。審査結果や補助金採択の通知なども基本的にシステム内で行われます。なお、登録申請からアカウントID発行まで約2週間ほどかかるため、早めに登録手続きを完了しておきましょう。