- 2024年07月24日
給水装置工事の申請までの流れや申請方法・必要書類を解説
水道工事に関する知識
給水装置工事は、水道メーターや給水栓・止水栓などの新設や撤去を行う工事です。工事は勝手に行えるものではなく、施工主に代わって指定給水装置工事事業者が申請する必要があります。申請するまでにも、施工主との打ち合わせや必要書類への記入などもあり、初めての工事ではわからないことも多いでしょう。
そこで、給水装置の申請までの流れや申請方法・必要書類について解説します。給水装置工事をスムーズに進めるためにも、ぜひお役立てください。
コンテンツ
給水装置工事とは?
給水装置工事は「水道法第3条第11項」で規定されており、給水装置の新設・撤去・修繕・改造を行う工事を指します。また、工事の施工だけでなく、計画・調査・検査も給水装置工事に含まれます。給水装置とは、道路などの下を通る配水管から各家庭に引き込まれた給水栓に直接つながる装置のことです。具体的には、水道メーター・止水栓・給水栓・分水栓・給水管をまとめて給水装置と呼んでいます。
家庭に受水槽がある場合は受水槽の手前まで、ビルの場合は受水槽のボールタップまでが給水装置です。給水装置工事を行うには、水道事業者である市区町村から指定給水装置工事事業者の指定を受ける必要があり、そのためには国家資格の給水装置工事主任技術者をおく必要があります。
給水装置工事の種類
給水装置工事には複数の種類があり、それぞれで行うべき工事は異なります。そこで、新設・変更・布設替・撤去工事の4種類について解説します。新設工事
給水装置の新設工事は、水道設備のない土地に新規に給水装置を設ける工事のことです。たとえば、家の新築工事に伴う上下水道設備の布設や個人で設置する消火栓などが該当します。また、以下の工事も新設工事に含まれます。・複数人が共同で給水管を布設する工事
・都市計画法に基づいた宅地造成に伴って給水管を布設する工事
・受水タンク以下の給水設備を新設する工事で管理者が認める工事
・受水タンク以下の給水設備を直結式給水に切替え、水道事業者のメーターを設置する工事
そのほか、既存の給水装置から分岐して水道事業者のメーターを新設する工事や、 建設工事現場などで使用する仮設の給水装置を新設する場合も新設工事となります。
変更工事
給水装置の変更工事とは、住宅のリフォームなどで給水管の種類や口径を変更したり、水道メーターや水抜栓などの位置を変更したりする工事のことです。蛇口の交換などの軽微な内容は変更工事に含まれません。一般住宅では、家族の人数が変化したり、加齢に伴い現在の間取りでは生活しづらくなったりするなど、生活スタイルが変化するケースが多々あります。たとえば、2世帯住宅へのリフォームによって水回り設備を増設する場合、蛇口の数が多くなると給水管の口径を20mmや25mmなど太くする変更工事が必要です。
変更する給水管の口径は、水道工事を担当する事業者が算出し、水道事業者に工事申請書を提出のうえ承認される必要があります。
布設替工事
給水装置の種類や位置の変更をしたり、水道管が漏水した場合に位置を特定して管を入替えたりする工事が布設替工事です。また、老朽化した場合の入替工事も布設替工事のひとつとなっており、管を取替える場合は原則として布設位置を変更しません。厚生労働省によると、給水管の法定耐用年数は40年となっているものの、高度経済成長期に布設された水道管の更新が進んでいない状況です。平成27年度の試算では、すべての水道管を更新するには130年以上もかかるとされています。つまり、水道管の更新が進んでいない地域では、水道事業者から認められて指定給水装置事業者になることができれば、継続して工事を受注できる可能性があります。
撤去工事
撤去工事は、建物の取壊しや移転、改装などで不要になった給水装置を撤去する工事です。給水装置の撤去工事では、事前に水道管を切り離し、撤去したメーターは水道事業者に返納する決まりがあります。このとき、単に撤去すれば良いものではなく、給水装置の撤去後に行われる他の工事との絡みもあるため、丁寧な作業を心がけましょう。給水装置の撤去工事が重要視されている要因のひとつは、給水管が漏水する恐れがあるためです。
長期間使用されないまま放置された給水管は漏水の原因となりやすく、場合によっては漏水が原因で道路が陥没するリスクがあります。東京都によると、給水管からの漏水が年間約8,500件あり、東京都の水道局が撤去工事を行っている状況です。
給水装置工事の申し込みまでの流れ
ここでは、一般家庭や建物の所有者に向けて、給水装置工事を行う場合の申し込みまでの流れを解説します。1.相談・打ち合わせ
まず、給水装置工事を希望する建物の所有者または管理者が、地元の指定給水装置工事事業者に相談します。工事の内容やスケジュール、見積もりなどの大まかな打ち合わせもこのタイミングで行いますが、事業者によって工事金額などが異なるため、依頼する側は複数社に相談しています。工事を受注するには、相談の段階から丁寧な対応が欠かせません。
2.指定給水装置工事事業者による調査・設計・見積書の作成
現場にある配水管の位置、水道の布設計画など、水道局と事前に確認や調整を行い、現場を調査したうえで設計を行います。
3.見積もりの作成・提出
依頼主と打ち合わせた内容、現場の調査結果をもとに工事の見積もりを作成し、依頼主に提出します。見積もりには工事の費用や工期、必要な資材などをわかりやすく詳細に記載しましょう。
4.承諾と契約
建物の所有者が指定給水装置工事事業者の提出した見積もりに承諾し、工事を依頼する場合は契約締結となります。契約書には工事の内容や条件、費用などを漏れなく明記しておきましょう。工事契約は依頼主と指定給水装置工事事業者の間で取り交わすものであり、水道局は関与しません。
5.工事の申し込み
指定給水装置工事事業者が水道局に工事申込書を提出します。
給水装置工事の申請方法
給水装置工事を申請できるのは市区町村から指定給水装置工事事業者のみですが、申請方法は地域によって異なる場合があります。ここでは東京都の申請方法を解説しますが、実際に工事を申請する際は管轄地の水道局に確認してください。東京都の場合、給水装置工事の申請書は、紙の申請書を窓口に提出する以外に電子申請システムから申請する方法があります。電子申請は窓口に足を運ぶ必要がないため、できれば電子申請がおすすめです。また、電子申請では水道管管理図電子閲覧が利用できるため、水道局に行かなくても給水管の敷設状況などの概要を確認することができます。
電子申請システムの利用は、祝日及び年末年始を除く月曜日から土曜日の8時30分から21時までとなっており、電子申請ログインIDの取得が必要です。窓口への提出とは異なり、土曜日でも申請書を作成して申請できる点は電子申請システムのメリットですが、水道局側の審査などは週明けに行われます。また、21時まで電子申請システムを利用できるとはいえ、平日の17時15分以降や土曜日は問い合わせを受け付けていない点に注意しましょう。
給水装置工事の申請の必要書類
給水装置工事の申請に必要な書類は、設置する給水装置や計画している給水方式などによって異なります。ここでは、東京都における給水装置工事のうち、給水管(取付・撤去)工事に必要な申請書類を解説します。給水装置工事申請申込書
工事場所・施工主・指定給水装置工事事業者・給水装置工事主任技術者・工事費請求先を記入する書面です。指定給水装置工事事業者工事調書
新設・改造・撤去のうち、どの工事かを明確にする書面です。工事の完了予定年月日や、関連工事がある場合は各工事の予定日などを記入します。支分栓等、同時に撤去する給水装置がある場合は、件数及びお客さま番号の赤書きが必要です。給水工費清算還付金口座振込依頼書
給水装置工事の申請は、工事費の概算額をあらかじめ水道局に納める必要があります。納めすぎたお金は工事の完了後に還付されるため、施工主の口座へ振り込むように水道局に依頼します。給水装置不使用兼撤去届
給水装置を使用しなくなった場合に水道局に届け出る書面です。撤去する給水装置と撤去する年月日、届出者の情報を記載します。給水管(取付・撤去)工事各種申請申込書
給水管の取り付けまたは撤去工事の承認・検査・道路占用手続き申し込み・道路占用手続き委任を行うための申請書です。目的とする申請内容にチェックを入れたうえで、工事場所・施工主・指定給水装置工事事業者などを記入します。まとめ
給水装置工事は、水道事業者である市区町村から指定給水装置工事事業者の指定を受けた事業者が行うことができる工事です。指定給水装置工事事業者になるためには、国家資格の給水装置工事主任技術者の有資格者がいることが条件になっています。給水装置の新設・撤去・修繕・改造などの施工以外に、計画・調査・検査なども行います。実際に工事を請け負うには、施工主との打ち合わせや水道局への申請が必要となり、工事の種別ごとに用意する書類が多岐に渡ります。今回紹介した情報を参考に、給水装置工事の受注から施工までスムーズに進められる体制を構築しましょう。