- 2024年11月01日
建設業許可とは?取得するメリットや申請方法、注意点を解説
建設業に関する知識
建設業許可は、工事規模など一定条件を満たした建設工事を行う際に必要なものです。建設業許可を持たずに工事を請け負った場合、建設業法違反として罰則の対象となる可能性があるため注意が必要です。
本記事では、建設業許可の申請要件や取得するメリット、申請方法などについて詳しく解説します。建設業許可の取得を検討している企業の経営者や、建設現場での仕事や業種について理解を深めたい方は、ぜひ参考にしてください。
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建設業許可とは?
「建設業許可」とは、一定規模以上の建設工事を行う際に必要な許可です。許可が必要な工事を建設業許可を取得せずに請け負った場合、罰金や懲役の対象となる可能性があるため、事前に確認する必要があります。建設業許可は、下請契約の規模など以下の基準で「一般建設業」と「特定建設業」の2つに分けられます。
- 特定建設業:発注者から直接請け負う工事代金が1件あたり4,500万円以上の下請契約(建築工事業の場合は7,000万円以上)
- 一般建設業:上記以外
なお、建設業法で定められている建設業許可が必要な工事の要件は、以下の通りです。
- 建築一式工事:1,500万円(税込)以上の工事または延床面積150㎡以上の木造住宅建築の工事
- 建築一式工事以外の建設業種:500万円(税込)以上の工事
建設業許可が必要な29種
建設業許可の業種区分は、全部で29種類あります。建設業法上において、建設工事は2種類の「一式工事」と27種類の「専門工事」に大別され、原則として建設業の業種ごとに許可を受ける必要があります。ここからは、29種類すべての建設業許可について詳しく解説します。1. 土木一式工事
「土木一式工事」は、総合的な企画、指導、調整のもとで土木工作物を建設する工事です。前述した2種類の一式工事のうちの1つで、補修、改造または解体する工事を含みます。また、農業用水道やかんがい用排水施設等の建設工事、プレストレストコンクリート工事の中で橋梁等の土木工作物を総合的に建設する工事も土木一式工事に該当します。2. 建築一式工事
「建築一式工事」は、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事です。基本的には、一式工事とされる大規模な増改築や、複雑な工事などが該当します。ただし、電気工事や管工事、内装仕上工事などの単一工事であっても、工事の規模や複雑性から個別の専門工事として扱うことが難しい場合には、建築一式工事として見なされます。
3. 大工工事業
「大工工事業」とは、木材の加工または取り付けにより工作物を築造し、または工作物に木製設備を取り付ける工事のことです。具体的には、大工工事、型枠工事、造作工事などが挙げられます。4. 左官工事業
「左官工事業」は、工作物に壁土、モルタル、漆くい、プラスター、繊維等をこて塗り、吹付け、またははり付ける工事です。具体的には、左官工事、モルタル工事、モルタル防水工事、吹付け工事、とぎ出し工事、洗い出し工事などが該当します。防水モルタルを用いた防水工事は、左官工事業と防水工事業いずれの業種の許可でも施行可能です。また、ガラス張り工事及び乾式壁工事は、左官工事を行う際の準備作業に含まれています。
5. とび・土工工事業
「とび・土工工事業」は、以下の工事を指します。- 足場の組立て、機械器具、建設資材等重量物の運搬配置、鉄骨等の組立て、工作物の解体等を行う工事(とび、ひき、足場等仮設、重量物の揚重運搬配置、鉄骨組立て、コンクリートブロック据付け、工作物解体)
- くい打ち、くい抜き及び場所打ぐいを行う工事(くい、くい打ち、くい抜き、場所打ぐい)
- 土砂等の掘削、盛上げ、締固め等を行う工事(土、掘削、根切り、発破、盛土)
- コンクリートにより工作物を築造する工事(コンクリート、コンクリート打設、コンクリート圧送、プレストレストコンクリート工事)
- その他基礎的ないしは準備的工事(地すべり防止、地盤改良、ボーリンググラウト、土留め、仮締切り、吹付け、道路付属物設置、捨て石、外構、はつり工事)
6. 石工事業
「石工事業」は、石材(石材に類似のコンクリートブロック及び擬石を含む)の加工または積方により工作物を築造し、または工作物に石材を取り付ける工事(石積み)のことです。また、建築物の内外装として擬石等をはり付ける工事や法面処理、擁壁してコンクリートブロックを積み、またははり付ける「コンクリートブロック積み工事」も含まれます。7. 屋根工事業
「屋根工事業」は、瓦、スレート、金属薄板等により屋根をふく工事です。板金屋根工事や屋根断熱工事など、屋根という場所における工事であれば屋根工事に当てはまります。ただし、屋根に太陽光パネルを設置する工事で、屋根と一体型の太陽光パネルの場合、それ自体が屋根材であるため屋根工事に該当します。一方、一般的な太陽光発電パネルを屋根に設置するケースは「電気工事」と見なされます。
8. 電気工事業
「電気工事業」は、発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事のことです。具体的には、発電設備・送配電線工事、引き込み線工事、構内電気設備(非常用電気設備を含む)工事、照明設備工事、ネオン装置工事などが挙げられます。ただし、前述の通り太陽光発電については、屋根工事との見極めが必要です。また、機械器具設置工事でも、機械器具の種類によっては電気工事や管工事などと重複する場合もあるため、確認しておきましょう。
9. 管工事業
「管工事」は、冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛星等のための設備を設置し、または金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気を送配するための設備を設置する工事です。具体的には、冷暖房設備工事、空気調和設備工事、給排水・給湯設備工事、浄化槽工事、水洗便所設備工事、ガス管配管工事、ダクト工事、管内更生工事などが含まれます。
10. タイル、れんが、ブロック工事業
「タイル・れんが・ブロック工事」は、れんが、コンクリートブロック等により工作物を築造し、または工作物にレンガ、コンクリートブロック、タイル等を取り付ける、もしくははり付ける工事を指します。具体的には、コンクリートブロック積み(張り)工事、レンガ積み(張り)工事、タイル張り工事、築炉工事、スレート張り工事、ALC工事などが該当します。
11. 鋼構造物工事業
「鋼構造物工事業」は、形鋼、鋼板等の鋼材の加工または組立てにより工作物を築造する工事のことです。具体的には、鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、石油、ガス等の貯蔵用タンク設置工事、屋外広告工事などがあります。ここで言う鉄骨工事とは、加工から組立まで一貫して行うものを指します。12. 鉄筋工事業
「鉄筋工事業」は、棒鋼等の鋼材を加工し、接合し、または組み立てる工事のことです。具体的には、鉄筋加工組立工事(鉄筋の配筋と組み立て)と鉄筋継手工事(配筋された鉄筋を接合する工事)で構成されています。また、鉄筋継手にはガス圧接継手、溶接継手、機械式継手などがあります。13. 舗装工事業
「舗装工事業」は、道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等により舗装する工事です。具体例としては、アスファルト舗装工事やコンクリート舗装工事、ブロック舗装工事などが挙げられます。なお、舗装工事と合わせて施工されることの多いガードレール設置工事は、分類としては舗装工事ではなく「とび・土工・コンクリート工事」に該当します。
14. しゅんせつ工事業
「しゅんせつ工事業」とは、河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事のことです。15. 板金工事業
「板金工事業」は、金属薄板等を加工して工作物に取り付ける、または工作物に金属製等の付属物を取り付ける工事を指します。具体的には、板金加工、建築板金工事などです。建築板金工事は、建築物の内外装として板金をはり付ける作業で、建築物の外壁や厨房の天井などにおける工事に含まれます。16. ガラス工事業
「ガラス工事業」は、工作物にガラスを加工して取り付ける工事のことです。具体例としては、ガラス加工取付工事やガラスフィルム工事などが含まれます。17. 塗装工事業
「塗装工事業」は、塗料、塗材等を工作物に吹き付け、塗りつけ、またははり付ける工事のことです。具体例として、塗装工事、溶射工事、ライニング工事、路面標示工事などがあります。塗装作業の前に行う下地調整工事およびブラスト工事は、通常の塗装工事に含まれているものとして見なされます。また、舗装道路に車線を引く作業も、舗装工事ではなく塗装工事業に当てはまります。
18. 防水工事業
「防水工事業」は、アスファルト、モルタル、シーリング材等によって防水を行う工事を指します。具体的には、アスファルト防水工事、モルタル防水工事、シーリング工事、塗膜防水工事、シート防水工事、注入防水工事などが該当します。注意点として、防水工事に含まれるのは、戸建て住宅や中高層ビルなど建築物の防水工事であり、トンネル内の防水工事といった土木系の防水工事は、防水工事ではなく「とび・土工・コンクリート工事」に含まれます。また、防水モルタルを用いた防水工事は、左官工事業もしくは防水工事業の許可でも施工が可能です。
19. 内装仕上工事業
「内装仕上工事業」は、木材、石膏ボード、吸音板、壁紙、たたみ、ビニール床タイル、カーペット、ふすま等を用いて建築物の内装仕上を行う工事のことです。具体例としては、インテリア工事、天井仕上工事、壁張り工事、内装間仕切り工事、床仕上工事、たたみ工事、ふすま工事、家具工事、防音工事などです。一般的に、リフォーム工事と呼ばれる建物の内装関係の工事は、ほぼすべて内装工事に当てはまります。
20. 機械器具設置工事業
「機械器具設置工事業」は、機械器具の組み立て等により工作物を建設し、または工作物に機械器具を取り付ける工事のことです。具体例として、プラント設備工事、運搬機器設置工事、内燃力発電設備工事、給排気機器設置工事、舞台装置設置工事、立体駐車場設備工事などがあります。さらに詳しく見ると、ベルトコンベアの設置などは運搬機器設置工事に該当します。また、建築物の中に設置される空調機器の設置工事は管工事に該当します。
21. 熱絶縁工事業
「熱絶縁工事業」は、工作物または工作物の設備を熱絶縁する工事を指します。具体的には、冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備または燃料工業、化学工業等の設備の熱絶縁工事などがあります。22. 電気通信工事業
「電気通信工事業」とは、有線電気通信設備、無線電気通信設備、放送機械設備、データ通信設備等の電気通信設備を設置する工事です。例えば、電気通信線路設備、電気通信機械設置、放送機械設置、空中線設備、データ通信設備、情報制御設備などが該当します。住宅などでのLAN工事やインターホン設置工事、防犯カメラ設置工事、アンテナ設置工事なども含まれます。
23. 造園工事業
「造園工事業」は、整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造する工事のことです。具体的には、植栽、地被、景石、公園設備、屋上等緑化工事などがあります。さらに細かく見ると、植栽工事には植生を復元する建設工事が含まれます。また、広場工事は、修景広場、芝生広場、運動広場その他の広場を築造する工事のことです。
24. さく井工事業
「さく井工事業」とは、さく井機械等を用いてさく孔、さく井を行う工事またはこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事です。例えば、さく井、温泉掘削、井戸築造、さく孔、石油掘削、天然ガス掘削などが含まれます。25. 建具工事業
「建具工事業」とは、工作物に木製または金属製の建具等を取り付ける工事を指します。例えば、金属製建具取付け、サッシ取付け、金属製カーテンウォール取付け、シャッター取付け、自動ドアー取付け、木製建具取付け、ふすま工事などが該当します。26. 水道施設工事業
「水道施設工事業」は、上水道、工業用水道等のための取水、浄水、配水等の施設を築造する工事または公共下水道若しくは流域下水道の処理設備を設置する工事です。具体例として、取水施設、浄水施設、配水施設、下水処理設備工事が含まれます。27 消防施設工事業
「消防施設工事業」は、火災警報設備、消火設備、避難設備若しくは消火活動に必要な設備を設置し、または工作物に取り付ける工事です。主に、屋内消火栓設置、スプリンクラー設置、水噴霧・泡・不燃性ガス・蒸発性液体または粉末による消火設備、動力消防ポンプ設置、火災報知設備、金属製避難はしご、救助袋、緩降機などの設置工事が該当します。28. 清掃施設工事業
「清掃施設工事業」は、し尿処理施設またはごみ処理施設を設置する工事のことです。具体的には、ごみ処理施設やし尿処理施設設置工事が該当します。29. 解体工事業
「解体工事業」は、工作物の解体を行う工事のことです。2016年6月より新しく作られた業種で、工作物の解体工事が該当します。ただし、他の専門工事における新築前の解体などは、作業内容や場所などの条件によっては内装仕上工事や土木一式工事、建築一式工事に該当する場合があります。建設業許可を取得するメリット
建設業許可を取得する費用は有料な上、手間がかかりますが、下記のようなメリットがあります。- 500万円以上の大規模な工事を請けられる
- 社会的な信用を得られる
- 公共工事の入札に参加できる
- 公的融資制度における審査通過の可能性が高まる
- 懲役や罰則、業務停止といったリスクを回避できる
500万円以上の大規模な工事を請けられる
500万円以上の建築一式工事以外の工事を行うためには建設業許可が必要です。建設業許可を持っていることで、受注金額の上限がなくなり、高額の工事も請けられます。受注金額に比例して利益自体も増えるため、企業や従業員へのメリットが大きくなるでしょう。社会的信用を得られる
建設業許可取得の条件は厳しいため、技術はもちろん、経営や会計状況についても一定の基準を満たしていないと許可が降りません。言い換えると、建設業許可を取得できれば経営状態や技術について行政に認められたことになり、社会的な信用の構築につながります。取引先企業や金融機関からの信用も得られるでしょう。公共工事の入札に参加できる
公共工事を受注するためには、多くの場合入札に参加する必要があります。入札参加に必要な「経営事項審査」の要件に建設業許可が含まれているため、公共工事の参入には建設業許可が必須です。公的融資制度における審査通過の可能性が高まる
公的な融資制度の中には、建設業許可の取得を前提とする場合があります。日本政策金融公庫や保証協会での融資において、建設業許可の取得が要件に含まれているものは、取得していないと申し込めません。低金利で融資を請けられる分、審査が厳しい傾向のある公的融資制度に申し込めると、建設業許可を取得することで資金調達の選択肢が増えます。懲役や罰則、業務停止といったリスクを回避できる
建設業許可が必要な工事にも関わらず、取得せずに受注したことや虚偽申請が発覚した場合、以下のペナルティが建築業法により定められているため注意が必要です。- 許可なしでの営業:3年以下の懲役または300万円以下の罰金
- 虚偽申請:6ヵ月以下の懲役または100万円以下の罰金
違反発生後は営業停止命令の可能性も出てきます。こうしたリスクを回避するためにも、建設業許可の取得が重要です。
建設業許可を受けるための要件
建設業許可を取得するために必要な要件は、以下の通りです。すべての要件を満たしている場合のみ許可を受けられます。建設業の許可を受けるためには、法第7条に規定する4つの「許可要件」を備えていること及び同法8条に規定する「欠格要件」に該当しないことが必要です。
1.建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者
2.専任技術者
3.誠実性(法第7条第3号)
4.財産的基礎等(法第7条第4号、同法第15条第3号)
※引用:国土交通省「許可の要件」
建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有する者
建設業に関する経営者としての経験があり、経営能力が十分にあることが最初の条件です。具体的には以下の2つの項目が設定されています。
- 経営業務の管理責任者等の設置(建設業法施行規則第7条第1号)
- 適正な社会保険への加入(建設業法施行規則第7条第2号)
建設業の経営業務について、一定期間の経験を持つ人が1人以上必要です。経営者経験の場合は5年以上ですが、役員や補佐業務での経験は以下の通り年数が異なります。
1. 建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者であること。
2.建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者であること。
3.建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者であること。
4-1.建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者(財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当するものに限る。)としての経験を有する者
に加えて、
常勤役員等を直接に補佐する者として、当該建設業者又は建設業を営む者において「財務管理の業務経験」、「労務管理の業務経験」、「運営業務の業務経験」について、5年以上の経験を有する者をそれぞれ置く(一人が複数の経験を兼ねることが可能)ものであること
4-2.5年以上役員等としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員等としての経験を有する者
に加えて、
常勤役員等を直接に補佐する者として、当該建設業者又は建設業を営む者において「財務管理の業務経験」、「労務管理の業務経験」、「運営業務の業務経験」について、5年以上の経験を有する者をそれぞれ置く(一人が複数の経験を兼ねることが可能)ものであること”
※引用:国土交通省「許可の要件」
社会保険については、健康保険や厚生年金保険、雇用保険など必要なものに関して、該当するすべての営業所で届け出ている必要があります。
専任技術者
専任技術者とは、許可を申請する建設業に関して一定の資格または経験を有する者のことです。建設業許可には「建設業に関する資格または十分な実務経験」が必須とされていますが、一般建設業と特定建設業とでは申請要件が異なります。また、専任技術者は営業所ごとに専任の者を設置する必要があります。建設業に関する資格としては、一級・二級建築士や建築施工管理技士、木造建築士といった国家資格などが該当します。一覧は国土交通省「営業所専任技術者となりうる国家資格者等一覧へ」内に記載があります。十分な実務経験を満たす要件としては、指定の学科課程終了や一定の実務経験が必要です。
誠実性
工事を受注するにあたって、契約締結や履行での不正行為がないことは事業主として大前提ですが、建設業許可の取得要件に含まれています。法人や個人、役職や地位に関係なく誠実性が必要です。財産的基礎等
建設工事を請け負い、完了するためには資金力や経営力も欠かせません。資材や機器の購入や人員の確保など、必要に応じて使える財産を保有している必要があります。一般建設業と特定建設業とで財産的基礎等の内容は以下のように異なります。《一般建設業》
次のいずれかに該当すること。
・自己資本が500万円以上であること
・500万円以上の資金調達能力を有すること
・許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること
《特定建設業》
次のすべてに該当すること。
・欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
・流動比率が75%以上であること
・資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること
※引用:国土交通省「許可の要件」
欠格要件
上記4つの要件を満たしていても「欠格要件」の内容に該当する場合は、建設業許可は取得できないので注意しましょう。欠格要件には、許可申請書や添付書類中に虚偽があった場合や、重要な事実に関する記載漏れなどが含まれます。建設業許可の申請方法
建設業許可の申請方法について詳しく見ていきましょう。建設業許可の申請方法
建設業許可は「大臣許可」と「知事許可」という2種類があり、以下のように申請先が異なります。- 2つ以上の都道府県に建設業の営業所を設ける場合:国土交通大臣あて(本店の所在地所管の地方整備局長等へ許可を申請)
- 1つの都道府県のみに建設業の営業所を設ける場合:都道府県知事あて(営業所の所在地を管轄する都道府県知事へ許可を申請)
許可申請に必要な書類や収入印紙などを揃えて、主たる営業所の所在地の管轄建設事務所などに提出します。
設業許可申請にかかる費用金額
許可を申請する場合は、先述した2つの区分ごとに手数料と税金の支払いが必要です。- 国土交通大臣への新規許可:登録免許税15万円
- 大臣許可の更新および同一区分内における追加許可:許可手数料5万円
- 都道府県知事への新規許可:許可手数料9万円
- 知事許可の更新および同一区分内における追加許可:許可手数料5万円
大臣許可の場合、登録免許税は本店所在地を所管する地方整備局等管轄の税務署にて支払い、許可手数料は収入印紙を許可申請書に貼り付けて納入します。知事許可での支払いは、都道府県発行の収入証紙による場合と現金支払いの場合とがあり、都道府県により異なるので指定の方法で納入します。
建設業許可申請の必要書類
建設業許可の申請に必要な書類は多岐に渡りますが、主に以下3種類です。- 申請書類一式
- 添付書類
- 確認用の書類
申請書類一式は様式が決まっており、国土交通省のホームページあるいは各自治体の公式サイトでダウンロードできます。その他の添付書類や確認用書類については「許可申請書及び添付書類(記載要領あり) 」に記載があります。提出する都道府県によっても若干異なるので、事前確認が必要です。
建設業許可を申請する際の注意点
建設業許可を申請する際の注意点としては、以下の項目が挙げられます。- 建設業の許可申請完了までは平均1〜3ヵ月
- 建設業許可の有効期限は5年で更新も可能
- 許可申請を外部に委託することも可能
- 建設業許可の追加取得や複数の業種での許可取得もOK
建設業の許可申請完了までは平均1〜3ヵ月
建設業許可を申請してから取得するまでは平均で1〜3ヵ月要します。申請書類に問題があり、再提出が必要な場合はさらに期間は延びるので、丁寧に書類を揃えることが重要です。多くの工事を請け負うためにも、早めの提出が望ましいでしょう。建設業許可の有効期限は5年で更新が必要
建設業許可の有効期限は5年で、有効期限内に更新手続きを行うことで継続が可能です。更新申請の期限は、許可満了日の30日前までと決まっています。有効期限が切れてしまった場合、建設業許可は失効となり、新規申請を一から行わなければなりません。当然ながら申請中は工事の新規契約はできないため、期限前に更新しましょう。許可申請を外部に委託することも可能
建設業許可の申請は、外部に委託することも可能です。事業主自身で手続きできますが、日常業務に支障が出る可能性があります。また、建設業者の経営に直結する重要な許可でもあるので、不安な場合は行政書士などの専門家に申請を代行してもらうと良いでしょう。依頼費用は新規と更新とで異なりますが、6〜15万円前後が相場です。建設業許可の追加取得や複数の業種での許可取得もOK
建設業許可を必要とする業種は29に分かれており、建設工事の種類ごとに許可を取得する必要があります。現在取得している業種とは別の業種についての追加取得や、2つ以上の業種の同時許可取得も可能です。まとめ
建設業許可は、建設工事を請け負う業者にとって重要な許可です。取得要件は厳しいですが、大規模工事の受注や公共工事への入札に有利となるなど、建設業許可の取得には多くのメリットがあります。必要書類が多い上、許可申請完了までは約1〜3ヵ月ほどかかるため、取得要件や申請方法をよく確認することが大切です。自社での手続きが難しい場合は、行政書士など専門家に相談し、アドバイスを仰ぎましょう。
建設業許可についてよくある質問
建設業者は必ず許可が必要ですか?
必ずではありません。一定規模の工事を行う上で建設業許可が必要であり、以下のような「軽微な建設工事」に該当する場合は建設業許可は不要です。- 建築一式工事:1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事
- 建築一式工事以外の:1件の請負代金の額が500万円未満の工事
大臣許可と知事許可の違いは何ですか?
大臣許可は、2つ以上の都道府県に営業所を設置している場合に必要です。1つの都道府県のみに建設業の営業所がある場合は知事許可に該当します。この区分は建設業の営業所に関してであり、建設工事場所には制限はありません。建設業許可の有効期限は何年ですか?
建設業許可の有効期間は5年です。期限が切れる前に更新手続きすることで継続できますが、許可満了の30日前までに更新の申請を行わないと許可は失効してしまいます。期限前に更新手続きを行いましょう。建設業許可の申請の流れは?
建設業許可を申請する際には、以下の手順で進めます。- 取得に必要な5つの要件をすべて満たしているか確認する
- 建設業許可申請書と添付書類を作成する
- 許可行政庁の建設業課の相談窓口で書類を提出し、予備審査が行われる
- 正式に書類を提出すると共に、許可ごとの手数料を支払う
- 建設業許可の登録完了
建設業許可の要件は?
建設業許可を受けるために満たす必要のある要件は、以下の5つです。- 建設業の経営業務の管理を適正にに行うに足りる能力を有する者
- 専任技術者
- 誠実性
- 財産的基礎等
- 欠格要件
建設業許可の大臣許可と知事許可を同じ会社で取れる?
同一の事業者が、大臣許可と知事許可の両方を受けることは認められていないため注意が必要です。例えば、本社のある都道府県で、左官工事業と大工工事業の許可を取得した場合、他の都道府県で新たに大工工事業を開始したい場合は、すでに取得している許可を変更する必要があります。建設業許可に関する違反や罰則を避けるための注意点は?
建設業許可が必要な工事を、無許可で行うなどの違反があった場合、罰則を受ける可能性があるため注意が必要です。例えば、注文書や契約書を分けることで1つずつの金額が500万未満になっても、元の工事が500万円以上であれば建設業許可が必要です。また、「500万円を超えるような大規模な工事を受注する機会はほとんどない」というような中小企業でも、建設業許可が必要な工事を受けることになった場合には、必ず取得しておかなければなりません。必要な建設業許可を取得した上で営業しましょう。
建設業許可が必要な工事の区分が紛らわしい場合の判断方法は?
建設業許可に関する工事の区分は、数が多い上に細かく別れているため、紛らわしいと感じられるものもあるかもしれません。例えば、管工事には、ガス管や水道管などの配管関係工事やエアコン設置など空調工事以外にも、清掃施設工事のし尿処理に関する施設の建設工事で浄化槽によりし尿を処理する施設の建設工事も含まれます。また、機械器具設置工事の場合、原則としてすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれますが、機械器具の種類によっては電気工事や管工事、電気通信工事などと重複します。そのため、専門工事の区分のいずれにも該当しない機械器具や、複合的な機械器具の設置のみが機械器具設置工事とされます。