- 2024年07月25日
現場管理業務の見える化に役立つシステムを一挙紹介
案件管理
どの現場でも安定した品質で工事を進めるには、作業工程や個人ごとの技術を見える化しておくことが大切です。近年では建設業界でも後継者不足が問題視されており、持続的な経営を目指すためにも情報共有に取り組む事業主も増えています。この記事では、建設現場で業務を見える化することの重要性や、工事関連の情報共有に役立つ施工管理システムの特徴・機能面を紹介します。
コンテンツ
建設現場における見える化の重要性
建設業に限らず、業務内容が見える化していれば、必要な教育を行うことで等しい品質で業務を進めていけます。高い工事品質を保ち続けるためにも、熟練した技術を若手に引き継ぐ体制づくりも大切です。まずは建設現場の実態を踏まえて、業務を見える化する重要性について解説します。業務の効率化・平準化
すべての作業員に工事の段取りを明確化しておくことで、情報共有にかかる時間を短縮でき、業務の効率化につなげられます。従来の、書類や口頭による情報共有にも顔を合わせたコミュニケーションができるメリットがありますが、業務の兼ね合いで関係者と会う時間が取れない場面が少なくありません。不明点を確認したくても、担当者がつかまらないこともあるでしょう。また、受け取った書類をしまい込み、必要な場面で情報を確認できない場面も起こりえます。しかし、工事管理システムを活用するとスマホアプリやパソコンを使って工事の段取りを即座に確認できます。必要な情報もシステム上に保管されるので、キーワード検索によって必要な情報を瞬時に入手可能です。メッセージ機能を使えば担当者を探す時間も省けて、その分だけ現場の業務に専念できるようになります。
工事管理システムでは現場や作業員ごとのスケジュール・業務量も確認できるので、業務量の平準化にも効果的です。現場や作業員のスケジュールが不明確だと作業員の稼働状況も把握しづらく、特定の作業員に負担が偏ることも考えられます。反対に、多忙が現場があるにもかかわらず、暇な作業員が出るというアンバランスも起こるかもしれません。工事管理システムでスケジュール管理を行うことで現場・工程ごとに必要な人工を把握しやすくなり、臨機応変に作業員を配置できます。その結果、作業員ごとの負担が平準化されて過労防止にもつながるのです。
コスト削減
工事管理システムを導入することで作業員の人件費や事務作業にかかるコストを削減でき、会社の利益率向上につなげられます。現場の繁閑に応じて柔軟に作業員を配置することで残業や休日出勤を削減できると同時に、時間外手当の支払額を減らせる可能性があります。減らせた時間外手当の一部の作業員の昇給やボーナスとして還元できれば、年間の人件費を抑えながら従業員満足度を向上させられるでしょう。不必要な応援要請も減らすこともできます。
さらに、工事用の車両・機材の利用状況も管理できるため、利用スケジュールを調整することで自社資産の活用率を高めてレンタル費用の削減にもつなげられます。
工事管理システムではペーパーレス(電子データ)での情報共有が前提となるため、書類の印刷や書類の保管にかかるコストの削減にも効果的です。写真や図面もシステムで共有できるので、現場に行く時間や交通費も節約できます。節約できた時間で営業活動を推進すれば、会社の売上アップにも貢献できます。管理職は作業員とコミュニケーションをとる時間を増やすことができ、会社への定着率を高めると同時に中途採用のコスト削減にもつなげられます。
また、請求管理に対応したシステムなら現場から送信された工事台帳をもとに請求書を自動作成でき、経理作業の負担も軽減されます。
業務品質の向上
前述しましたが、工事管理システムでは電子データで情報を共有するため、写真・図面や作業マニュアルをスマホなどで即座に確認可能です。不明点をその場で確認するというルールを定めておけば、思い込みによる工事ミスを未然に防ぐことができ、工事品質の向上につなげられます。手戻りによる工期への影響も最小限にでき、工期を遵守することで依頼主の信頼も高まるでしょう。工事の品質確認もシステム上のチェックシートで行えるので、会社が求める工事品質を作業員全員で共有できます。チェック項目も明確化されているので、チェック漏れだけでなく作業員による不正防止にも効果的です。
工事終了後や空き時間などに過去の工事台帳をチェックして、作業員自身の技術向上に役立てられるのも工事管理システムならではの特徴です。管理職にとっても作業員の日報を活用したフィードバックがしやすくなり、目標設定と課題克服を組み合わせて部下の成長を促せます。
暗黙知の共有による技術伝承の円滑化
熟練した技術を他の作業員に受け継ぎ、品質の高い工事を長期にわたって提供し続けるためにも工事管理システムを有効活用できます。経験豊かな作業員が何らかの事情で退職した場合、技術面の情報共有が不十分だと工事品質が低下し顧客の信頼を損ねる恐れがあります。その結果、工事の新規受注が減ったり競争入札の評価点が下がったりするなど、経営へのダメージも大きくなりがちです。
一方、写真や工事日報などで作業記録を蓄積することで技術伝承をスムーズに進められ、若手作業員の成長を促進できます。勘や経験・直感といった属人的な判断基準も、動画や言葉で見える化すれば客観的な判断基準に変わり、経験が浅くてもベテランと遜色ない工事を施行できるようになります。技術を伝承する側にとっても、自分のペースで情報をまとめられるのがメリットです。会社全体の技術力が底上げされ、経営の安定にもつながるのです。
主要な施工管理ソフト10選
ここで、業務の見える化に有効活用できる主な施工管理システムを10個紹介します。無料トライアルや営業担当者のデモンストレーションなどでシステムの機能やサポート体制・価格を比較しながら、自社に合ったシステムを検討してみてください。要 〜KANAME〜
「要 ~KANAME~」は株式会社プラスバイプラスが提供する現場管理ソフトで、工事の段取りをはじめ作業員日報や見積・請求情報を一元管理できるのが特徴です。社内にサーバーを設置するタイプですが、現場からスマホアプリを使って段取りデータや工事情報を参照できます。オンラインストレージ(DropBox・Onedrive)と連携しているので、最大5TBのデータを保存できるだけでなくデータのバックアップも簡単です。
工事の段取りはカレンダーに登録する仕組みなので1日の予定がわかりやすく、重複やミスを防げるので作業員のスケジュールを確実に管理できます。工事日報や見積もりの内容はすべて工事台帳に集約され、工事の実績だけでなく案件ごとの経費・利益も見える化できます。
つまり、工事の状況だけでなく会社の収支状況もチェックできるのです。さらに、現場ごと・チームごとの成績管理にも対応できるため、客観的なデータをもとにフィードバックを行い組織・個人の生産性向上にもつなげられます。電話・リモートでサポートを受けられる他、公式LINEで操作の不明点をチェックできるので安心して利用できます。
ANDPAD
「ANDPAD」は株式会社アンドパッドが提供する施工管理アプリで、現場の工程や作業員のスケジュール、写真や図面などをクラウドで管理できるのが特徴です。電子契約アプリや会計ソフトなど、他社ソフトと連携して業務の効率化を進められます。また、チャット機能も搭載しているので社内のコミュニケーションもスムーズです。作業員の予定は個人ごとのカレンダーに登録される仕組みで、工程表と連動して案件ごとの進捗状況や担当工程も一目で確認できます。写真付きの日報も、スマホから送信可能です。営業管理機能も搭載しており、案件を地図表示できるなど戦略的な営業活動の推進にも効果を発揮します。オプション機能も豊富で、見積もり作成や受発注情報の管理・工事の検査データの登録など、会社が必要な機能を選べるのもメリットです。
過去に受注した顧客のメンテナンス管理機能も追加できるので、アフターサービスを通じて顧客満足度の向上にもつなげられます。電話やメール・チャットでの操作サポートに対応しているので、自分の都合に合わせて操作方法を相談できます。
Photoruction
「Photoruction」は株式会社フォトラクションが提供する建設業に特化したクラウドサービスで、写真・図面の共有や作業工程・検査の進捗情報など現場に必要な情報を一元管理できるのが特徴です。J-COMSIA対応の電子小黒板も搭載しており、工事の進捗管理も簡単です。タスク管理機能も搭載しているので、自分のスケジュールはもちろん他の作業員の状況も一目で確認できます。現場で撮影した写真は自動的に整理され、位置情報をもとに階数や通り芯も自動判定されます。キーワード検索にも対応しており、施行状況も簡単に確認可能です。図面もフォルダーごとに管理され、容量の大きな図面もスピーディーかつ鮮明に表示できます。図面の差替え履歴も記録されるので、設計変更の経緯も明確化できます。
工程表のレイアウトは柔軟に設計できる仕組みで、バーチャートやネットワーク工程表にも対応しています。工程表はすべてのメンバーにリアルタイムで共有される他、個人別のタスク表にも反映されるので業務の進捗管理もスムーズです。電話や専用の問い合わせフォームでの操作サポートに対応しており、都合に合わせて不明点を問い合わせることができます。
ダンドリワーク
「ダンドリワーク」は株式会社ダンドリワークが提供する施工管理アプリで、作業工程や現場情報・工事日報の管理をはじめ、作業員の勤怠管理も可能です。社内専用のチャット機能や掲示板を標準装備している他、工事の状況を施主と共有できる機能もオプションで搭載できるので、コミュニケーションの質も高められます。建設現場を知るスタッフがソフト開発からサポートまで一貫して対応しているので、自社の業務に合わせた導入プランを提案してもらえるのが特徴です。現場情報は画面で簡単に確認でき、施工写真や近隣での注意事項といった細かな情報も記録されます。情報が変更されると関係者に通知されるので、リアルタイムでの情報共有が可能です。現場で撮影した写真に直接コメントを残せるので、作業指示はもちろん工事中の状況もわかりやすく記録できます。オプションの受発注機能では、発注から検収・請求までオンラインで完結でき、電子契約にも対応可能です。協力会社ごとに承認フローを設定できるので、事務作業の効率も高まります。
電話やチャットで操作サポートを受けられる他、導入後の定期訪問や課題分析レポートの提供といったアフターフォローも充実しています。
AnyONE
「AnyONE」はエニワン株式会社が提供する工務店向け業務効率化システムで、工程管理はもちろん工事情報の共有や顧客管理・受発注管理など会社業務に必要な機能がまとまっているのが特徴です。工程表や施工に関連する情報を協力会社と共有できるので、現場ぐるみで生産性を高められます。工事の進捗や収支の状況も現場ごとにリアルタイムで確認でき、戦略的な経営判断にも効果的です。現場の写真や施工図面などの工事情報は案件ごとのフォルダーに自動で仕分けされ、過去の案件や協力会社への依頼状況もスムーズに確認できます。顧客情報や対応履歴もシステムで共有できるので、担当者が不在時に問い合わせを受けた場合でも的確な対応が可能です。見積書のテンプレートも登録可能で、会社として統一した基準で見積を作成することで顧客の信頼を高められます。請求書も見積書から自動作成できるほか、入金予定のアラーム通知にも対応しているので代金の請求漏れも未然に防げます。
さらに、施工した物件の定期点検・メンテナンス時期にもアラームを設定できるので、顧客との長期的な関係づくりにも有効です。電話・メールでのサポートに対応している他、有料での帳票カスタマイズにも対応しています。
SITE
「SITE」は株式会社CONITが提供する現場情報共有ツールで、案件管理やスケジュール共有・チャット機能に特化しているのが特徴です。スマホアプリにも対応している他、協力会社や施主をチャットに招待できるので、充実したコミュニケーションを通じて工事品質の向上につなげられます。案件ごとのグループチャットやビデオ通話機能も利用可能です。
案件管理では、工程表の作成はもちろん図面・見積書や顧客情報の管理も可能です。Google Mapと連携して現場や駐車場の位置も把握できます。
撮影した写真は案件ごとに自動的に整理され、コメントを追加したり電子小黒板(SITE黒板)の情報と紐付けたりすることも可能です。図面などの変更履歴も記録されるため、変更前後の経緯も簡単に把握できます。チャットで会話した内容は個人のタスク表に自動反映されるので、業務の漏れによる工程への影響を防げます。スケジュールのカレンダー表示にも対応しており、工事全体の予定も一目でわかります。
SMILE V コストマネージャー
「SMILE V コストマネージャー」は株式会社大塚商会が提供する建設業向け原価管理システムで、現場ごとの原価管理や利益状況などを分析して会社の利益向上につなげられます。別売の「POWER見積」で作成した見積書から請求書の発行や入出金管理ができるので、事務作業の効率化にも有効です。
工事情報をプロジェクトとして登録後、得意先・外注先などに分けて案件ごとに原価を分析できます。仕入先ごとの予算管理にも対応しており、材料の発注や協力会社への依頼状況を把握しながら適正な費用配分につなげられます。作業工程・要素細目別の原価分析や現場の出来高・出面の管理も可能です。
また、原価データをもとに支払明細書や振込依頼データも作成できます。
OBIC7
「OBIC7」は株式会社オービックが提供する統合業務ソフトウェアで、建設業向けのソリューションも用意されています。建設工事業向け統合ソリューションで、予算・実績や契約内容の管理、作業員の勤怠管理が可能です。現場から得られた情報をもとに経営状況を分析できますが、作業工程や日報の管理には対応していないので、本社での事務に特化したシステムといえます。
システムに積算・見積情報を登録することで、原価計算や収支のシミュレーションが可能です。
資材・外注作業員の発注管理や出来高請求・立替金といった債権債務の管理にも対応しています。日報から登録した勤怠データは、出面の管理や給与計算にも活用できます。
現場ポケット
「現場ポケット」は株式会社アステックペイントが提供する現場管理専用アプリで、日報・工事報告書の作成をはじめ掲示板・トーク機能といったコミュニケーション機能も充実しています。データ容量や登録できるユーザー数・現場数に制限はないので、月々の費用やわかりやすいのが特徴です。案件ごとにメニュー画面がまとまっているため、操作も簡単です。トーク機能はLINEと同様の使い勝手で、グループチャットや写真・スタンプの送信にも対応しています。
投稿した写真はアルバムに自動的に保存され、工事情報として日付やキーワード検索が可能になります。重要な要件は掲示板にも貼り付けられるので、情報共有の徹底が可能です。掲示板で現場ごとのメンバーを確認して、チャットを通じてチームワークの向上にもつなげられます。
日報機能ではトーク画面から作業の開始・終了時刻を登録でき、作業内容もプルダウンメニューで選べるので報告にかける時間を短縮できます。
現場ごとの人工も自動計算できるので、請求業務の効率化も可能です。操作方法の電話・メールでのサポートに対応している他、動画マニュアルも用意されています。
かん助
「かん助」は株式会社穴吹カレッジサービスが提供する施工品質管理システムで、案件管理や品質チェック・図面の共有など業務の効率化に役立つ機能が搭載されています。自社オリジナル帳票の登録や他社ソフトとの連携も可能で、システムの柔軟性が高いのが特徴です。現場や作業工程の進捗を一括表示できるので、工事のミスや遅れを防ぐことができます。
協力会社ごとにワークフローを作成でき、工事の指示・報告体系や品質チェックの基準を明確化して施工手順の標準化につなげられます。
あらかじめ撮影場所を登録しておけば、現場写真を撮影した後に自動的に写真台帳が作成されます。検査の合格率などの統計も充実しており、工事品質の向上につなげることも可能です。図面は施工業者ごと・現場ごとに共有でき、アクセス権も設定できます。
また、冊子や動画でマニュアルを参照できる他、電話でのサポートも受けられるので安心してソフトを活用できます。
まとめ
施工管理システムでは工事ごとの記録を写真や文章で残せるため、工事の効率化や品質向上に有効活用できます。スマホアプリで利用できるシステムなら必要な情報を現場で確認できるため、作業員や協力会社との情報共有もスムーズです。工事のノウハウをすべての社員が共有し、長く経営を続けていくために自社に合った施工管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
今回紹介した施工管理システムのなかでも、情報の一元管理による業務効率化と利益の見える化を可能にし、シンプルな経営判断に役立つ「要 ~KANAME~」がおすすめです。
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