- 2024年07月31日
建設現場に求められる熱中症対策とは?管理者が行うべき施策や対策グッズを紹介
経営に役立つ知識
建設現場はさまざまな危険が伴いますが、なかでも熱中症はここ数年で大きな問題として挙げられるようになりました。厚生労働省の発表によると、全産業のなかで建設業の熱中症による死傷者数がもっとも多く、とくに死亡者数は40%を占めるほどですから効果的な対策が求められます。そこで、現場管理者が行うべき熱中症対策や熱中症リスクを軽減できるグッズを紹介します。
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熱中症とは?
はじめに、熱中症の基本的な知識について確認しておきましょう。熱中症の発生原因
建設現場で熱中症を引き起こす原因には、以下に挙げる身体・環境・行動があり、それぞれが複雑に絡み合って発生します。・身体…年齢、性別、体調、暑さへの慣れの程度など
・環境…気温、湿度、コンクリートやアスファルトからの照り返しなど
・行動…休憩の有無、活動強度、持続時間など
建設現場は、日陰のない炎天下での作業はもちろん、空気の流れが少なく高温になりやすい鋼矢板内の作業など、熱中症を引き起こしやすい環境にあります。
本来、私たちの体には発汗により体温を下げる調節機能が備わっていますが、高温の環境に長くいるとうまく機能せずに体温が上昇してしまいます。また、汗をかきすぎて体内の水分や塩分が失われてしまうことも熱中症になる原因のひとつです。
熱中症の症状
熱中症の症状は、軽症・中等症・重症の3つに分けられます。軽症は、現場での応急処置で対応できる程度の症状です。気分が悪くなったり手足がしびれたりするほか、いわゆる立ちくらみ、こむら返りなどの症状が出ることもあります。中等症は、病院への搬送を必要とする状態です。頭痛や吐き気、嘔吐などの症状が見られるほか、力が入らなかったり、軽い意識障害を伴ったりすることがあります。重症は、入院して集中治療を行う必要がある状態です。呼びかけても反応が薄く、全身がけいれんする場合もあります。高体温になっていることがほとんどで、内臓の障害を伴うこともあります。
現場管理者が取り組むべき熱中症対策の基本的な施策
現場の作業員が熱中症にならないためには、現場管理者がしっかりと対策をとらなければなりません。そこで、現場管理者として押さえておきたい熱中症対策の基本的な施策を紹介します。気象情報の収集
6月~9月の熱中症が発生しやすい季節は、天気予報などを小まめにチェックして作業員の健康を守ることが欠かせません。そのためには、行政機関の情報を確認することもひとつの方法です。たとえば、気象庁では、リアルタイムで全国各地の気温の予測情報や高温に関する注意情報を提供しています。また、環境省では3時間ごとの暑さ指数の予測値を公開しています。当日から3日後までの予測値のため、建設現場でも役立つでしょう。作業環境の整備
気候の変化に伴い建設現場の作業環境は変化しているため、作業環境の整備がとても大切です。たとえば、日光を遮るための簡易的な屋根やテントの設置、空気の流れを作るための大型送風機やミストファン、スポットクーラーなどを熱中症対策として設置する現場も増えてきました。現場によっては、空調服を支給しているところもあります。環境整備にあまりお金をかけられない場合は、温度計や湿度計を現場に設置して注意喚起をするのも手軽にできる施策として有効です。作業時間の管理
高温多湿になりがちな夏場の建設現場では、作業時間の短縮や休憩時間の延長を考慮する必要があります。通常は昼休憩と午前・午後の小休憩としている現場も、熱中症が心配される時期は1時間に1回の休憩を取り入れてみてはいかがでしょうか。また、早出や早帰りなどの仕組みを導入し、できるだけ涼しい時間から作業を開始するように工夫している現場もあります。コストをかけずにできる熱中症対策なので優先的に検討してみましょう。水分・塩分を摂取しやすい環境を整える
脱水症状は、自分で気づかないうちに進んでいる場合もあるので、現場管理者が声がけを行なって水分と一緒に塩分も補給してもらいましょう。たとえば、エネルギーと塩分の補給を目的として、バナナに塩をかけた「塩バナナ」を配布している現場もあります。電源のない現場では、休憩場所に冷凍したスポーツドリンクを常備するなど、現場の状況に合わせた工夫が見られます。また、現場事務所や休憩場所に塩飴を置いて誰でも手に取れるようにしておいたり、朝礼時に配布したりするのも良いかもしれません。作業員の健康状態の確認
現場で働く人たちが熱中症にかからないためには、普段から健康管理を徹底することが大切です。そのためには、作業開始前や作業中の健康確認を行いましょう。たとえば、健康状態に関する自己チェックシートに記入や、職長の聞き取りによる体調管理を行う方法もあります。また、熱中症の危険性がある気象条件の日は、通常よりも作業中の巡回を増やすようにし、作業員の健康状態をしつつ水分補給を呼びかけることも大切です。熱中症が発生した場合の措置
現場作業員が熱中症を引き起こした場合、まずはエアコンが効いている室内や風通しの良い日陰などの涼しい場所へ非難させます。次に、衣服を脱がせて身体を冷やします。扇風機などで体を冷やすのも良いですが、可能であれば両脇の下や太ももの付け根部分を通る血管に氷を当てるのがおすすめです。血液を冷やすことで体温が下がりやすくなります。そして、経口補水液やスポーツドリンクを補給させながら状態をチェックしましょう。ポイントは、受け答えがしっかりとしていて、ペットボトルやコップを自分で持てるかを確認することです。意識が朦朧としている状態で水分を与えると、気道に流れ込んでしまったり吐いてしまったりするので避けなければなりません。こういった場合は、すでに重症化しているおそれがあるので医療機関に搬送する必要があります。
現場の熱中症対策に効果的なグッズ
現場管理者が押さえておきたい熱中症対策に効果的なグッズをピックアップしましたので1つずつ見ていきましょう。WBGT計
気温・湿度・輻射熱の3つから算出される暑さ指数(WBGT)を計る計測機です。WBGT計を使用することで現場の状況確認ができるので、熱中症のリスクを抑えるのに役立ちます。ちなみに、暑さ指数が28℃を超えると熱中症の発生リスクが高まるとされています。空調服
服に付いた小型のファンで外気を服の中に取り込み、汗が蒸発する際の気化熱によって涼しさを得られる製品です。快適に作業できると評判で、作業効率の維持向上が期待できます。アイスベスト
脇の下や背中にあるポケットに保冷剤を入れられる熱中症対策用ベストです。空調服と組み合わせて着用することで、より一層高い効果を得られます。コンプレッションシャツ・パンツ
身体に適度な圧力がかかるコンプレッションは、汗の吸収と発散に優れていて、気化熱によって涼しく感じられるのが特徴です。下着が蒸れて不快になるのも防げます。ヘルメットインナー
ヘルメットの中にかぶる薄手のインナーキャップです。とくに、夏場のヘルメットの内側は汗で蒸れやすいですが、速乾性に優れたヘルメットインナーがあれば快適に作業できます。現場管理業務の改善を目指すなら「要〜KANAME〜」がおすすめ
建設現場は熱中症リスクが高い環境にあるので、現場管理者はしっかりとした対策を行う必要があります。ただ、建設現場で解決すべき問題は熱中症対策以外にも、さまざまな管理業務があるため手が回らない方もいるかもしれません。現場管理業務を効率化するには「要〜KANAME〜」の活用がおすすめです。工事台帳に情報を集約して一元管理できるので、業務効率が飛躍的に向上します。利益の視える化も可能になるので、ざっくりとした収益管理からの卒業も実現できるでしょう。