- 2024年07月30日
工事台帳のエクセル作成はもう卒業!アプリを使った簡単な作り方とは?
案件管理
建設現場において、工事台帳を適切に記入して管理しておくことは非常に大切です。しかし、「今の工事台帳が使いにくい」「記入に手間がかかって後回しにしてしまう」などの課題を抱えている現場も多いのではないでしょうか。この記事では、工事台帳をエクセルで作成するメリット・デメリットや、工事台帳作成の業務効率をアップさせるクラウドシステムを紹介します。はじめに工事台帳の目的や記載すべき項目なども解説しているので、これから工事台帳を作成するという人も参考にしてください。
コンテンツ
工事台帳とは
工事台帳とは、工事にかかった費用の詳細を記載する台帳のことです。工事現場ごとに台帳を作成し、日々の取引内容を記載します。工事台帳は、「工事原価管理台帳」や「工事原価台帳」などと呼ばれることもあり、その名のとおり工事にかかる原価を管理することが主な目的です。工事台帳に記載する項目には材料費や労務費などがあり、費用が発生した日付や金額、仕入先名などを細かく記載するのが特徴です。それによって、工事ごとのお金の流れが明確になり、原価をしっかり管理できるようになります。また、時系列に沿って記載されているので、工事の進捗状況の把握にも役立ちます。
工事台帳の作成は義務ではありませんが、建設業界や工務店では経営管理のためにも工事台帳を作成しているケースは少なくありません。工事台帳は収支や利益率の把握にも活用できるので、黒字経営のために有効な手段とされています。税務調査や経営事項審査、労災保険の申告の際の提出資料としても利用でき、作成しておくことでさまざまなメリットがあります。
工事台帳は費用が発生するたびに記入が必要なので、手間がかかると感じている経営者や担当者も多いでしょう。しかし、上記で解説したとおり、工事台帳はさまざまな場面で活用されます。本記事の後半では、エクセルやクラウドシステムを使った工事台帳の作成についても詳しく解説しているので、そちらも参考にしてみてください。
建設業で工事台帳を作成する目的
工事台帳を適切に管理するために、工事台帳を作成する目的を知っておきましょう。ここでは、建設業で工事台帳を作成する目的を4つ紹介します。原価の管理
工事台帳には材料費や外注費などの費用を記載するので、原価の管理に役立ちます。工事台帳をチェックすれば、ある時点でどの程度の費用がかかっているのか、リアルタイムで確認できます。進行中の工事の原価を定期的にチェックすることで、最終的な経費の予測を立てられ、赤字を未然に防ぐことも可能です。収支や利益率の把握
工事台帳を作成する目的として、収支や利益率の把握が挙げられます。工事台帳を作成しなければ、経費や利益などをおおよその数字でしか把握できません。工事台帳に適切に費用を記載することで、収支や利益率を意識しながら工事を進められます。また、過去の工事台帳の内容を参考に、精度の高い見積り金額を出すことも可能です。経営状況の把握
現場ごとにいくら費用がかかって、どれくらいの利益が出たのかを把握することは、会社を経営するうえで非常に大切です。また、工事台帳は社内で利用するだけでなく、関係先へ経営状況を証明するためにも使われます。例えば、建設業法で定められている経営事項審査を受ける際には、工事台帳の提出が必要です。税務調査への対応
工事台帳は、税務調査への対応にも活用されます。原価や収支内容、工事の進捗など、税務調査で確認される内容がまとまっているためです。工事台帳の作成は義務化されているわけではありませんが、税務調査が入った場合には工事台帳の有無を確認されるケースが大半です。また、工事台帳が適切に管理されていると、調査官の心証が良くなるというメリットもあります。工事台帳に記載すべき項目
工事台帳に記載すべき項目は、材料費・労務費・外注費・経費の4つです。ここでは、それぞれの項目について詳しく解説します。材料費
材料費は、工事に必要な材料を仕入れるためにかかった費用です。在庫の材料を使う場合は、実際に工事に使用した時点で原価を記載します。当該工事のために購入した材料を使う場合は、そのまま材料費として計上するケースが多いです。原価のほか、取引にかかった費用も材料費に含まれます。労務費
労務費は、工事に関わる社員の人件費です。具体的には、社員の給与や交通費、健康保険料や厚生年金保険料などを計上します。工事台帳に記載する労務費は、あくまで直接工事に関わった社員が対象で、事務スタッフなどの人件費は含みません。外注費
自社で雇用している社員以外の現場作業員に支払う費用は、外注費として記載します。「自社で雇用している社員の人件費は労務費」「自社以外の作業員の人件費は外注費」と覚えておきましょう。経費
経費とは、材料費・労務費・外注費以外に発生した費用全般のことです。工事に直接関わらない事務スタッフの給与や、建設機械の使用料や現場の光熱費などが経費に当たります。工事に関わる費用でほかの3つの項目に当てはまらないものは、基本的に経費として計上します。工事台帳をエクセルで作成するときのポイント
工事台帳は、エクセル(Excel)を使って作成することも可能です。ここでは、エクセルの工事台帳作成における3つのポイントについて解説します。テンプレートを活用する
エクセル台帳を作成する場合は、テンプレートを活用しましょう。エクセルに一から罫線や関数を打ち込み、工事台帳を作り上げるとなると手間や時間がかかります。その点、工事台帳テンプレートは形式が完成されており、多少アレンジするだけでに使い始めることが可能です。必要な箇所に数字や名称を入れるだけで複数のセルに反映されるものが多く、マスターシートへも自動で同期できるなど、作業効率化に役立ちます。無料のテンプレートなら、初期費用がかからない点も魅力です。
現場ごとにシートを分ける
エクセルの工事台帳では、現場ごとにシートを使い分ける方法がおすすめです。1つのシートをマスターシートとして作成し、現場別のシートは原本を作成しておいて、案件が発生した際にコピーして使うと良いでしょう。エクセルのシートを使い分けることで、合計金額の算出が自動的に行える上、各工事台帳にもすぐにアクセスできます。また、エクセルファイルは共有できるため、複数の人がファイルを更新できて便利です。
マクロや関数を使用する
エクセルのマクロや関数を活用すれば、簡単な入力作業だけで工事台帳の作成と更新が可能です。関数を入力しておけば、必要な数値を入れるだけで自動計算や自動反映が可能です。最も一般的でメジャーな「SUM関数」は、合計金額を簡単に算出してくれます。また、現場ごとの原価管理から会社全体の原価計算を行えるよう、関数を組んでおくことも可能です。見積り予算を記入して進捗率や残りの予算を確認するといった使い方もできます。さまざまなエクセルの機能を有効活用することで、作業効率がアップするでしょう。
工事台帳はフリーのエクセルテンプレートで作成することも可能
工事台帳を作成する手段として、フリーのエクセルテンプレートを活用する方法があります。ここでは、工事台帳をエクセルテンプレートで作成するメリット・デメリットを紹介します。エクセルテンプレートで作成するメリット
工事台帳をエクセルで作成するメリットとして、導入の手軽さが挙げられます。会社で使用するパソコンにはエクセルが導入されていることが多く、導入コストがかかりません。エクセルを使い慣れている社員も多いので、抵抗感なく導入できるでしょう。インターネット上に公開されているエクセルテンプレートを使えば、すぐに工事台帳の入力が始められます。レイアウトや関数を自由に変更できるので、自社の用途に合わせてカスタマイズすることも可能です。
エクセルテンプレートで作成するデメリット
エクセル工事台帳のデメリットは、最新の情報を確認しづらい点です。「担当者がエクセルファイルを更新して関係者に共有する」という作業を行わなければならないため、情報のリアルタイム性は低くなります。ファイルサーバーなどを利用している場合も、注意が必要です。ファイルサーバー上でエクセルを編集しても、上書き保存しなければ入力した内容は他の人からは見られません。「担当者は最新の情報を入力したつもりでも、他の人がファイルを開くと編集前の状態が表示される」といったケースもあります。
操作ミスをしやすいのも、エクセルで工事台帳を管理するデメリットです。仕入れ情報が多くなるほどエクセルの行数が増え、一行間違えて入力したり関数を誤って編集したりする恐れもあります。
エクセルを使うと、業務が属人化しやすい点にも注意してください。特に、関数やマクロを使ってカスタマイズしている場合は、特定の人しか編集できないという状態に陥りやすくなります。
工事台帳をエクセルで作成するときの注意点
エクセルで工事台帳を作成する際には、いくつか注意したい点があります。関数の設定ミスやファイル共有のタイムラグなどがあると、工事台帳全体に影響が及ぶ可能性もあるため注意が必要です。ここでは、主な3つの注意点について解説します。最新版がわかりやすい管理方法を取り入れる
エクセルの工事台帳では、ファイルが最新版かどうかわかりやすいよう管理することが大切です。Googleドキュメントと異なり、エクセルファイルは編集した後に手動で保存を行う必要があります。共有している工事台帳ファイルの最新版がわからず作業が進まない、といった状況を避けるためにも、いつ編集したものが最新版なのか判別できるよう工夫が必要です。保存ルールを設けるのと同時に、複製を禁止する、ファイルを編集できる人を限定する、といった決まりも有用です。
関数やファイル更新のミス対策を行う
エクセルでの工事台帳において、関数やファイル更新でのミスには十分注意が必要です。関数が使えて便利なエクセルですが、入力されている関数にミスがあった場合、金額が間違ってしまう、正しく表示されない、といったトラブルが起きる可能性があります。工事台帳用テンプレートを導入した後の更新は、人の手作業です。編集時の人為ミスが起きないよう、関数やファイル更新時のチェックを徹底しましょう。また、編集する人は1人のみに限定し、他の人が作業している間はファイルを開かない、といった対策も有効です。
属人化を避ける
マクロや関数の知識がある人だけが使える、という「属人化」状態では、担当者の作業負担が増えてしまいます。また、他に扱える人がいないと、担当者の急な退職や休職の際に誰も工事台帳を編集できず、更新が滞ってしまうでしょう。普段からエクセル作業を複数人で共有するとともに、使い方のマニュアルなどを作成して、担当者以外が必要に応じて編集できる状況を作っておくことが大切です。
クラウドシステムの導入で建設業における工事台帳作成の業務効率が飛躍的に向上!
工事台帳はさまざまな場面で活用できるので、しっかり管理しておくべき台帳です。まだ工事台帳を作成していないという場合は、早めの導入をおすすめします。工事台帳の作成方法は自由なので、手書きやエクセルなど、管理方法は企業によって異なります。これから工事台帳を作成するという企業や、手書きやエクセルの工事台帳に課題を抱えているという場合は、クラウドシステムの導入がおすすめです。工事台帳をもとにした現場管理ソフト「要〜KANAME〜」は、利益の視える化や業務効率化などに役立つ機能を多く提供しています。
クラウド上でデータを一元管理できるので、いつでも最新の情報が確認できます。スマホやパソコンから簡単に日報を入力でき、オフィス以外の場所からでも情報共有がスムーズにできるのもポイントです。
工事台帳用のソフトは入力できる箇所が限られるため、エクセルのように誤って入力済みのデータや関数を削除してしまうリスクがありません。フォーマットが統一されているので、一度操作を覚えてしまえば誰でも入力でき、作業が属人化してしまうことも防げます。
現場ごとの収支や利益をリアルタイムで把握でき、スピード感のある経営判断も可能です。年間売上や顧客別売上比率が自動でグラフ化されるので、経営判断に必要な情報がよりわかりやすく表示できます。
エクセル工事台帳についてよくある質問
工事台帳とは?
工事台帳とは、工事にかかった費用の詳細を記載する台帳のことです。材料費や労務費など、日々の取引を各項目に分類して記載します。原価管理や収支・利益率の把握、経営状況の把握などの目的で管理する台帳で、税務調査への対応で使われることもあります。工事の規模が大きい場合や、複数の工事が同時進行している場合などは、工事台帳の記載にかかる手間も増えるので、なるべく手間のかからない方法を選ぶようにしましょう。工事台帳に記載する項目は?
工事台帳に記載する項目は、材料費・労務費・外注費・経費の4つです。材料費は、工事に必要な材料を仕入れるためにかかった費用のことです。労務費は工事に関わる社員の人件費のことで、給与や手当、健康保険料などを計上します。外注費とは、自社で雇用している社員以外の現場作業員に支払う費用のことです。経費は上記の3つ以外に発生した費用全般を計上します。事務スタッフの給与や現場の光熱費などが経費に当たります。工事台帳を作成するのにおすすめなツールは?
工事台帳は、手書きやエクセルで管理している企業が多いです。しかし、手書きやエクセルは手軽に導入できる半面、情報のリアルタイム性や入力時の手間や操作ミスの起きやすさなどに課題があります。工事台帳の作成は、クラウドシステムの導入がおすすめです。「いつでも最新の情報が確認できる」「スマホやパソコンから入力できて業務効率がアップする」など、さまざまなメリットがあります。エクセル工事台帳の作成ポイントは?
エクセルで工事台帳を作成するときのポイントとして、テンプレートの活用やシートの使い分け、マクロや関数などの機能が挙げられます。フリーの工事台帳テンプレートは、オンライン上で無料でダウンロード可能です。1つのファイルで、全体を管理するマスターシートと現場別のシートを使い分けることで、必要な情報をすぐに見つけられます。現場ごとのシートは原本を作っておいて、現場ごとにコピーして記録していくと効率的です。
エクセル工事台帳の作成での注意点は?
エクセルで工事台帳を作成する際には、関数やファイル更新時のミス、ファイル共有時の最新版の判別などに注意が必要です。エクセルで関数の入力時にミスがあった、あるいは編集時に関数を誤っていじってしまった、といった場合、正しく情報が反映されなくなります。自動反映や自動計算のエラーが起きる可能性もあるので、関数を入力する際はよく確認し、不必要に変更されないようにセルの保護機能なども活用すると良いでしょう。
エクセルは編集後に保存しないと内容は更新されずに消えてしまいます。また、複製を作ってしまうと、どれが最新版かわからなくなる可能性もあるので、保存管理時のルールを決めておきましょう。
上記に加えて、特定の人だけが更新できる状態は避けることが大切です。属人化してしまうと、担当者の作業負担が増える上、不在時に誰も編集対応ができなくなってしまいます。マニュアルを共有し、担当者以外でも必要な際に更新できる体制を構築しましょう。
エクセル工事台帳のテンプレートはどう選べばいい?
エクセル工事台帳のテンプレートには、手軽に使い始められるシンプルなものから、土木、建設など業種に特化したもの、経費の種類が豊富なものなどさまざまなタイプがあります。無料で入手できるフリーテンプレートを複数ダウンロードして、比較検討しても良いでしょう。ただ、自社向けのアレンジやファイル更新、最新版の管理といった点が面倒だと感じる場合は、エクセルよりもクラウドタイプの工事台帳をおすすめします。