- 2024年08月08日
電気設計に関する資格にはどんなものがある?
電気設計に関する仕事と一口にいっても、電気設備会社から家電メーカー、建築会社、IT関連企業、設備管理会社までさまざまな業種にわたって存在します。
電子機器、電子回路を扱う現場は本当に数多いため、こうした電子機器や電気回路の設計、メンテナンスに精通した技術者は多くの分野で需要があります。
昨今では電子機器や電気回路の分野だけでなく、メカ関連業務やCADソフトを使った設計業務への需要も増えているので、電気関連の工事技術者に対しては電気回路の設計だけでなく、より幅広い分野での知識や経験が問われてきているようです。
そこでこうした電気設計に関する技術者の技量を担保するために設定されているさまざまな資格について、この記事ではご紹介していきましょう。
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どんな資格がある?代表的な電気設計の資格
電気設計の技術に関する資格は、代表的なものだけでも多数の国家資格があります。
取得が容易なものからかなり難しいものまでありますが、いずれも取得に見合う価値と需要のある資格が多いのが特徴です。
最もポピュラーな資格の1つで電気工事にたずさわるならぜひとも取得しておきたい資格は「電気工事士」です。
電気設計技術者にとっては登竜門ともいえる資格で、第2種電気工事士は取得が比較的容易にもかかわらず、多くの産業分野で求人のある人気資格となっています。そして電気設計技術者の資格として代表的な資格が「電気主任技術者」です。
いわゆる「電検」と呼ばれている国家資格で、事業用の電気工作物の保安・監督をする技術者のための資格です。一般の事業所での監督業務を行う「3種」、大規模電気設備の保安監督業務を行う「2種」、そして発電所などで保安監督業務を行う「1種」があります。取得の難易度は非常に高く難関試験ですが、資格保有者の数が常に不足しがちの大型資格で、電気設計技術者ならば取得しておきたい資格です。
この他に電気工事の施工管理に関する一定の技術力の証明となる「電気工事施工管理技士」、電気通信設備全体の管理・監督を行うための国家資格である「電気通信主任技術者」という資格が有名です。
幅広い電気設計分野の中、業務内容や業種の違いに応じた多くの資格があり、有資格者は就職や転職の場面で非常に有利になることが多いのが特徴です。
ではこれらの代表的な資格についての試験情報、業務範囲などについて簡単に見ておきましょう。
電気工事の資格の定番「電気工事士」
電気工事士は一般家庭や店舗、工事現場やビルなどで使われる「電気工作物」の工事・管理を行うために必要となる国家資格です。
第1種と第2種に分かれ、第2種では一般家庭や店舗などの600ボルト以下で受電する設備の工事、第1種はこれに加えて最大電力500キロワット以下以内の工場やビルの電気設備の工事が可能となります。
受験資格はなく第2種の最終合格率55%と高く、高い需要と相まって例年受験者が10万人を超える人気資格です。
第2種と第1種は同時に受験することも可能ですが、第1種の免状を発行してもらうには、基本的に第2種の免状取得後3年の実務経験が必要となります。
試験は年に2回行われますが試験を受けられるのは年1回まで。筆記試験とあらかじめ問題候補が公開されている、簡単な電気回路を作成する技能試験の2段階の試験です。
合格率の高い試験なので独学で合格することも可能で、資格取得後は建設業界、電気工事業界、家電業界、設備管理業界などで多くの求人募集があります。
電気設計技術者のための代表的な国家資格「電気主任技術者」
電気主任技術者は事業用の電気工作物の保安・管理をするための国家資格で、「電検」の名前でおなじみです。
現場の責任者として作業員を管理して指示を出す役職につきます。大型設備では設置が義務付けられている「専任技術者」に任命されるのもこの資格を保持している人になるので、社会的評価は高く、多くの業界からの需要が高い資格です。
等級が3つに分かれていて第3種は電圧5万ボルト以内の事業用電気工作物、第2種は電圧17万ボルト以内の事業用電気工作物、第1種は発電設備や大型プラントを含めたすべての事業用電気工作物についての保安、管理業務につくことができます。
試験は非常に難関です。第3種での合格率は約10%前後、第2種と第1種は3%前後の合格率で、何年もかけてチャレンジする受験者も多い資格です。
試験は年に1回、9月から11月にかけて行われます。
マークシート式の1次試験、記述形式の2次試験の2段階で、電気理論、電気材料、機械・電気機器、関連法規といった科目から出題されます。
有資格者は年齢や経験に関係なく即戦力の電気技術者として採用されることもあるので、就職や転職、キャリアアップを考えている方にとっては大きなチャンスとなる資格です。
建設業界でも人気「電気工事施工管理技士」
電気工事の施工の管理・監督を行うために必要となる資格です。
電気工事業界では非常に重宝されるだけでなく、建設業界でも高い需要があります。
大きな公共工事を受注するために必要となる建築業許可の取得要件の1つに「専任技術者の設置」という要件があり、電気工事施工管理技士はこの「専任技術者」に選任することができるのです。
そのため建設工事会社の技術者が資格を取得するよう会社から奨励される、といったことも多い資格です。
等級は2級と1級があり、施工管理業務なら2級、工事の指導監督にあたるならば1級を取得します。
試験は年1回、建設業振興基金によって開催されていて6月の学科試験、10月の実地試験の2段階です。
合格率は2級が40%前後、1級が25%前後と比較的取得しやすい難易度ですが、注意すべきは受験資格です。
2級、1級ともに学歴や実務経験の年数などが決められていて、電気工学関連の専門課程を卒業している、電気工事の実務経験が1年以上あるなどの条件がないと受験資格が得られないことになっています。
電気通信に関する唯一の国家資格「電気通信技術者」
電気ネットワーク分野はあらゆる分野で発展しているので、多くの業種で電気通信に関するスペシャリストが望まれています。
電気通信技術者はそんな電気通信ネットワークの維持、保安、管理、運用に関する監督のために必要となる国家資格です。
電気通信関連の資格はこの他にはないので有資格者への需要は高く、電気通信関連業界の会社内でのキャリアアップに大きく役立ちます。
さらに鉄道や電力会社といったインフラ系企業でも有資格者の活躍分野は多く、こうした業界への就転職の際にも非常に有用な資格です。
資格の種類は「伝送交換主任技術者」と「線路主任技術者」の2種類があり、試験は年に2回、1月と7月に行われます。
いずれも午前と午後に分けて行われるマークシート式の筆記試験のみになります。
合格率は伝送交換主任技術者がおよそ20%、線路主任技術者が15%と難関ですので、試験準備はしっかり行っておく必要があります。
即戦力としての需要が高い!電気設計に関する資格を取得しよう!
電気設計に関する資格は代表的な国家資格だけでもこれだけの種類があります。
いずれも有資格者に対する需要は高く、建設業、通信業、インフラ関連、家電メーカーなど多くの分野でのキャリアアップやキャリアスタートが期待できる資格です。
工事をするために取得が必須となっている資格が多く、また法律上義務付けられている「専任技術者」などに選任されることのできる資格も多いため、会社内で資格取得を奨励されることも多いです。
それぞれの所属する業界や将来設計に応じた受験計画を立てることも必要で、資格の中には受験資格や難易度などの面で取得の難しいものも多くあります。
ただ単に資格取得を目指すだけでなく、資格取得後どのようなキャリアを積んでいきたいのかをしっかり定めたうえで、必要となる資格の取得に挑戦するという姿勢が大事になります。