- 2024年08月08日
水道工事を指定業者に依頼するメリットと注意点は?
水道工事に関する知識
水道工事を請ける会社のホームページで「指定給水装置工事事業者」と書かれているのを目にすることがあります。水道工事に携わるうえで「指定」がつくかどうかは大きな違いがあり、会社の信頼にも大きな影響を及ぼすため指定業者について理解しておくことが大切です。依頼する側から見た場合も、指定業者か否かは印象が違うかもしれません。そこで本記事では、指定業者に水道工事を依頼することのメリットや注意点を紹介します。
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水道法における指定給水装置工事事業者とは?
水道法では、水道工事ができる指定給水装置工事事業者の条件を定めていて、指定業者でなければ対応できない工事の範囲が決まっています。ここでは、水道法の概要と指定給水装置工事事業の条件、指定業者と指定業者以外の違いを紹介します。水道法とは?
水道法とは、日本全国に水道を整備することによって清潔で価格の安い水を供給し、国民の公衆衛生の向上と生活環境の改善に貢献することを目的にした法律です。水道法で水質基準や水質の管理目標設定項目、要検討項目を設けていることにより、私たちが安心して安全な清潔な水を飲めるようになっています。なお、2018年の改正水道法により、水道施設の所有は自治体のままですが、設備の運営や管理は民間の事業者でもできるようになりました。また、清潔な水を届けるために欠かせないのが指定給水装置工事事業者の存在です。指定給水装置工事事業者とは、水道法により給水装置の工事を適切にできると認められるものとして指定を受けた事業者のことです。蛇口やパッキンなどの部品を取り替えるのは個人でもできますが、配管を伴う工事は指定給水装置工事事業者に依頼する必要があります。実際に工事を行うためには、給水装置工事主任技術者という国家資格を保有していなければなりません。
指定給水装置工事事業者になるための条件
指定給水装置工事事業者になるための要件は、指定給水装置工事事業者制度で定められています。まず、事業所ごとに給水装置工事主任技術者をおくことが絶対条件です。資格を取得するためには試験を受ける必要がありますが、給水装置工事について3年以上の実務経験がなければ試験を受けることはできません。また、厚生労働省が定める機械器具を有していることも条件です。機械器具とは、金切りのこやパイプねじ切り器、パイプレンチなど、水道管の切断・加工・接合に使用する機材などを指します。さらに、一定の欠格要件もいるので、どんな事業者でも指定事業者になれるものではありません。これらの条件を満たしている場合、各自治体の窓口で申請を受け付けてもらえます。指定業者と指定業者以外の違い
指定業者と指定業者以外では、対応できる業務の範囲に違いがあり、上水道と下水道でも異なります。各自治体の条例により変わる場合もありますが、一般的には以下のような違いがあります。上水道 | 下水道 | |
指定業者ができること | ・給水管や水栓の新設工事
・給水管の種類や経路の変更 ・水栓の増設 |
・排水設備の新設・増設・撤去・構造変更
・汲み取りから水洗への改造工事 |
指定業者以外ができること | ・蛇口やパッキンの交換 | ・トイレ掃除および交換
・給水管・排水管交換を伴わない軽度な水漏れ・つまり対応 |
たとえば、給水管の交換や水栓の増設などを行える技術力があったとしても、工事を行うのは違法行為です。自治体によっては罰則が設けているところもあるほか、供給先への給水が止められる場合もあるので、会社としては信用問題に関わるでしょう。
ちなみに、指定業者が水道法に違反する工事を行った場合、資格の停止や取り消し、罰金、告訴など重い処分を受けることになっていて、指定業者と指定業者以外の罰則に不公平感があるともいわれています。