- 2025年03月03日
電気工事の1人工の相場とは?費用の目安とコストを抑えるポイント
案件管理電気工事に関する知識

電気工事の見積もり作成では、1人工の単価設定に悩む人もいるでしょう。電気工事における1人工の相場を知らずに設定すると、受注のチャンスを逃したり、利益が減ったりする可能性があります。
この記事では、電気工事の1人工の相場や単価の計算方法、業者選びの注意点などについて詳しく解説します。適切な価格を設定し、協力業者と良好な関係性を築くためにぜひ参考にしてください。
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電気工事における「1人工(にんく)」とは?
電気工事における1人工(にんく)とは、一般的に「職人1人が1日(8時間)作業を行う際の労務費」を指します。電気工事や建設現場での作業は、基本的に時給ではなく1人工で報酬を計算します。ただ、すべての作業単価を一律で設定すると、難易度が高い作業の単価が下がってしまうため、作業ごとに適正な価格を正しく計算するために「人工」が用いられています。工事規模や作業の難易度などに応じて、現場ごとに必要な人工数が決まります。例えば、簡単な配線工事は1人工で済みますが、大規模な改修工事は複数の職人が必要になり、作業にも数日を要します。工事の見積もりを取る際に、何人工になるのかを事前に明確にすることが重要です。
電気工事の1人工相場:全国平均と地域差
電気工事の1人工の単価は、地域によって差があります。日本電設工業協会が発表している「令和5年3月から適用する 公共工事設計労務単価(電工)について」によれば、公共工事における令和元年からの単価の全国平均は以下のように推移しています。- 令和元年:24,360円
- 令和2年:24,858円
- 令和3年:24,222円
- 令和4年:25,872円
- 令和5年:27,204円
電気工事の費用が変動する要因
電気工事の1人工の金額は、さまざまな要因によって変わります。ここでは、代表的な要因を4つ紹介します。地域による違い
前述のデータによれば、地域別のデータでは、関東の単価が最も高く、25,000円を上回っている一方、沖縄の単価は19,000円と低めに設定されています。都市部では人件費や物価が地方よりも高い傾向にあり、電気工事の単価も約20%ほど高くなっています。工事の規模や内容
電気工事の規模や施工内容も、費用に影響します。例えば、一般家庭のコンセント増設や照明器具の設置といった小規模な工事であれば、1人工で完了しますが、オフィスビルの大規模な電気配線工事は、数日から数週間かかる場合があります。また、複数の職人が現場で作業しなければならず、必要な人工も増加します。作業の難易度や環境
作業環境や工事の難易度も、費用を左右する要因です。具体的には、高所作業や狭いスペースの配線など、特殊な安全対策や設備が必要となる現場では、追加料金により費用が高くなる可能性があります。また、ビルの屋上や天井裏の作業など、安全対策としての機材や作業員を増やす場合、費用は高くなりやすいでしょう。さらに、地下の配線工事や老朽化した建物では、既存の設備を取り扱う際に慎重に作業しなければならず、通常より作業時間がかかることも考えられます。
経験値やスキル
電気工事に必要な経験やスキル次第で、費用が変わる可能性があります。経験が豊富な職人は、技術力が高く、作業が迅速で正確なため単価は高めです。反対に、経験が浅い場合、単価は低く設定されやすい傾向があります。ただ、施工品質や仕上がりが重要であるため、費用対効果を考慮して業者を選ぶことが大切です。電気工事の費用内訳:1人工以外にかかる費用
電気工事にかかる費用は、人工以外にも複数の要素で構成されています。ここでは、電気工事の費用の内訳と、各項目の費用について解説します。材料費
材料費とは、電気工事に必要な資材や部品などの費用です。一般的には「材料単価×個数」で算出できますが、材料の単価は業者によって変わる場合があります。詳細は見積もりの内訳で確認しておくと無難です。運搬費や交通費などの経費
運搬費や交通費も電気工事の単価に含まれます。遠方での作業は、電車代や車のガソリン代、高速料金などの費用がかかる分、単価は高くなります。また、重機を使用する場合なども運搬費は高額になるでしょう。特殊作業費
通常の電気工事とは異なる特別な環境や、特殊な機材が必要な作業において、別途費用がかかる場合、特殊作業費として追加されます。例えば、高所での電線工事などでは、安全帯や足場設置を要するため、追加費用が発生します。また、狭小空間や地下作業は、作業員の異動や機材搬入に手間がかかるため、金額が上がる可能性があります。他にも、防爆設備の設置やクリーンルーム内での作業など、特定の安全基準を満たす必要があるケースでも、特殊作業費が発生します。
電気工事の費用を抑えるポイント
技術力が高く、信頼できる業者であっても、費用が高いと依頼をためらうことがあるでしょう。ここでは、電気工事にかかる費用をできる限り抑えるために、意識すべきポイントを紹介します。複数業者から見積もりを取る
電気工事の費用を安く抑えるために、必ず複数の業者から見積もりを取りましょう。1社の見積もりで決定せずに、最低でも3社以上の業者に見積もりを作成してもらい、金額や内訳を比較検討することが大切です。費用相場を把握できれば、適正価格で依頼できる業者を選びやすくなります。また、対応のスピードや丁寧さを事前に確認できます。
まとめて依頼する
複数の工事案件をまとめて依頼することで、1つずつ依頼するよりも割安で契約できる場合があります。例えば、コンセントの増設や照明の交換のような小規模な電気工事を単発で契約するのではなく、同時に複数まとめて依頼すれば、1人工の作業時間内で済むため、コストを抑えられます。また、近くの現場でまとめて同じ業者に依頼できれば、結果的に工事費用を安く抑えられる可能性があります。同時期に発生する工事や作業を事前にリストアップしておき、一度にまとめて見積もりを作成してもらうとスムーズです。
受注側にとっても、まとめての依頼は仕事を先に確定でき、スケジュールを立てやすくなるというメリットがあります。
閑散期に依頼する
電気工事の繁忙期と言われるのは、オフィスの移転や開業の多い3月~4月や、エアコンの取り付けが多くなる6月ごろ、そして年末年始です。繁忙期は、工事の依頼が増えるため、金額は割高になる傾向があります。反対に、上記以外の閑散期に依頼することで、希望の日時に着工しやすく、費用も比較的抑えられる可能性があります。急ぎの工事を除いて、時期を見極めて依頼することが大切です。
専門の施工業者を探す
仲介業者や営業会社の紹介を受ける場合、手数料が発生しますが、自社で業者を探して直接契約することで費用を抑えられます。また、受注側が粗利を確保するために作業員を減らす必要がなくなり、施工品質を確保できます。加えて、業者との連絡や施工がスムーズに進むようになり、コストだけでなく時間のロスも低減されるでしょう。電気工事の実績が豊富な専門業者を見つけるためには、知り合いの業者に聞く他、業界の団体や専門協会の会員に問い合わせるという方法もあります。
電気工事の業者選びで失敗しないための7つのポイント
自社の要望に合った電気工事業者を選定するためには、以下のポイントを押さえておきましょう。- 電気工事士の資格と経験を確認する
- 見積もりの内訳が明確であるかを確認する
- 口コミや評判をチェックする
- アフターフォローや保証制度の有無を確認する
- コミュニケーション能力を確認する
- 建設業許可を持っているか確認する
- 緊急時の対応について確認する
電気工事士の資格と経験を確認する
電気工事を担うためには、専門資格を取得している必要があります。電気工事に役立つ資格は、電気工事士の他にも多数ありますが、保有資格によって請け負える作業内容が異なる場合があるため注意が必要です。例えば、第2種電気工事士は、一般住宅や比較的小規模な店舗など、600V以下で受電する設備の工事が可能です。上位の第1種電気工事士を取得すると、第2種の範囲に加え、工場やビルなどでの最大電力500kw未満の工事も担当できます。
また、国家資格など難易度の高いものもあり、取得には専門知識や技術を要します。資格を持たない業者は信頼性がないだけでなく、施工が正常に行われない可能性もあるため、有資格者に作業を依頼しましょう。
見積もりの内訳が明確であるかを確認する
見積もりを確認する際には、総額だけでなく内訳についても適正かどうかを見極める必要があります。見積もりの主なチェックポイントは、以下の通りです。- 人件費:作業員の単価、何人工が必要か
- 材料費:配線やコンセント、ブレーカーなどの部材の種類と必要な数量
- 交通費・出張費:工事現場までの移動費
- 特殊作業費:高所作業や特殊機材の費用がある場合
- 追加費用:工事中に追加費用が発生する可能性とその条件
- 保証・アフターサービス:工事後の保証内容、アフターサービスの範囲、トラブル対応
口コミや評判を参考にする
電気工事の業者を選ぶ際には、インターネット上の口コミや評判も参照しましょう。初めて依頼する場合は、実際の技術や品質がわからないため、客観的な判断材料を集める必要があります。実際に取引のあった企業や職人の声は、信頼性が高く、業者選びに役立ちます。また、ホームページや公式SNSなどの投稿で、過去の施工事例や実績を見ておくと、業者の信頼性を把握できます。
アフターフォローや保証制度の有無を確認する
アフターフォローや保証制度が整っているか確認しましょう。施工後に不具合が発生した際に、対応が不十分だと修理費用が追加でかかってしまう可能性があります。保証に関して、以下の点をチェックしましょう。- 保証期間の長さと内容:一般的には1年~5年程度
- 保証の範囲
- 不具合時の対応スピード:即日対応や48時間以内など
- 追加費用の有無:出張費や部品代などの請求の有無
- 定期点検の有無:無料点検サービスの有無
- 契約書の記載:保証内容が契約書に明記されているか
コミュニケーション能力を確認する
電気工事業者は、技術力はもちろん、コミュニケーション能力も必要です。施工に関する説明がわかりやすく、相談しやすい業者を選ぶことでトラブルを未然に防げます。コミュニケーション能力について、以下のような点が判断材料になります。- 見積もりの説明:不明点を質問した際にわかりやすく回答してくれる
- 顧客の要望把握:依頼した意図を正しく理解し、それに基づいた提案ができる
- 工事の進捗報告:作業の進行状況や変更点の報告
- 専門用語を使わない説明:電気工事の専門用語を使わずに、わかりやすく具体的に説明できる
- トラブル発生時の対応:万が一の状況で速やかに対応できる
- 書類や契約の説明:契約内容や保証について丁寧に説明できる
建設業許可を持っているか確認する
電気工事の内容によっては、建設業許可を取得している業者に依頼する必要があります。建設業許可とは、一定規模以上の工事を請け負う際に求められる認可制度です。電気工事士が建設業許可を取得すると、以下のような点で有利になります。- 一定規模以上の工事を請け負える:建設業法で500万円(税込)以上の工事を請け負う場合は建設業許可が必須
- 信用度が向上する:技術力と経営基盤の保証として見なされる
- 公共工事に参入できる:建設業許可は、公共工事の入札参加資格を得るために必要
- オフィスビルや工場、商業施設など大規模な電気設備の新設や改修工事
- 学校や病院、自治体施設など公共施設の電気配線や設備工事
- 変電設備の設置や、高圧受電設備の更新工事
- 大規模太陽光発電設備の設置工事
緊急時の対応について確認する
電気工事では、突発的に故障やトラブルが発生することがあり、迅速な対応が求められます。特に、企業や店舗の電気設備におけるトラブルは、営業に支障をきたす可能性があるため、緊急時の対応力が重要です。以下のチェックポイントが参考になります。
- 24時間対応の有無:深夜や休日のトラブルに対応してもらえるか
- 対応可能なエリア:出張費が発生する可能性
- 到着時間:業者が到着するまでどの程度の時間がかかるか
- 緊急対応の追加料金:深夜や祝日など時間外の追加料金
- 代替対応の可否:仮設の電源供給など一時的な応急対応の可否
- 契約時の緊急対応プラン:定期契約の顧客向け優先対応プラン
まとめ
電気工事では、一般的には「職人1人が1日(8時間)作業を行う際の労務費」のことです。ただ、電気工事の単価は地域や工事内容などの条件で変わるため、最新の相場を把握したうえで単価を設定することが重要です。また、電気工事では、運搬費や交通費、材料費などの経費も業者に支払う必要があります。見積もりの内訳とともに、電気工事士の資格や建設業許可の有無、アフターフォローなどを総合的に比較検討し、最適な業者を選定しましょう。
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電気工事の1人工の相場についてよくある質問
電気工事の作業内容ごとの1人工相場は?
電気工事の作業内容ごとに1人工の相場が異なります。ここでは、代表的な電気工事作業における目安金額を紹介します。- 防犯カメラや人感センサーの設置:5万円〜
- コンセントの設置:約5,000円〜
- パソコン配線やLAN工事の相場:15万円〜
- 照明器具取付(コンセントや分電盤に照明器具の設置込):2万円〜
電気工事の費用を安く抑える方法は?
電気工事の費用をできるだけ安く抑えるために、以下の点を意識すると良いでしょう。- 複数業者から見積もりを取る
- 複数の工事をできる限りまとめて依頼する
- 閑散期に依頼する
- 仲介業者や営業会社を通さず直接契約する
電気工事単価を決める際の「積算基準」とは?
積算基準とは、電気工事の単価を計算する際のガイドラインのことです。工事の内容や定義によって、項目ごとに積算基準を参考にし、見積もり作成の効率化や明瞭な金額の提示を促します。主に公共工事の予算を計算する際に用いられますが、民間工事で独自の積算基準が設けられているケースもあります。積算基準は、あくまでもガイドラインであり、法的な規則ではありませんが、水増しなどの不正を防止するために有用です。工事の材料規格や単価計算、経費計算における考え方を明確に掲載することで、積算が正しいかどうかを確認できます。
電気工事における見積のポイントは?
電気工事における見積もりは、細かい数値の計算により作成されます。手作業で行い、計算ミスや項目の抜け漏れが発生すれば、予算を正しく把握できなくなるため注意が必要です。まずは、工事規模を正確に算出しましょう。施工図や配線図をもとに、必要な材料や作業員の数、重機などを洗い出します。必要な線の数や材料の長さを見間違えるなど、ミスが発生しやすいため注意しましょう。
続いて、適正な単価を設定することが重要です。単価設定は、自社の利益や取引先からの信頼性にも影響します。材料費や人件費を正しく積算することで、相場に合った金額を算出できます。
単価設定が難しい場合は、過去の案件単価が参考になります。似た規模や工事内容の案件を参照することで、見積もり作成が円滑に進みます。ただ、物価や人件費は年々変動するため、最新の相場を反映させる必要があります。
電気工事の業者選びで押さえるべきポイントは?
電気工事の業者選びでは、以下のポイントを押さえましょう。- 電気工事士の資格があるか確認する
- 実績や経験をチェックする
- 見積もりの内訳を確認する
- 口コミや評判を調べる
- アフターフォローや保証制度を確認する
- コミュニケーションが取りやすいかを判断する
- 建設業許可の有無を確認する
- 緊急時の対応範囲や手段を聞いておく
見積もりを依頼した際の対応スピードや丁寧さ、見積もりの内訳などをトータルで比較検討した上で業者を選ぶことで、満足度が向上します。