- 2024年02月27日
施工図とは?竣工図や設計図との違いや種類・書き方を解説
水道工事に関する知識
施工図は、施工現場で作業する各業者が必要な情報を把握するための図面です。
施工図の内容や品質が、現場作業の進捗や工期、予算などにも影響するため、適切に仕上げる必要があります。
本記事では、施工図の目的や種類、書き方をはじめ、竣工図や設計図との違いなどについて解説します。
工事現場の進捗に直接影響する施工図を、正確かつ効率的に作成するために有用な情報を紹介しますので、ぜひご覧ください。
コンテンツ
施工図とは?
施工図とは、施工内容が記載された図面です。受注者から作業現場の各業者へ、どのような施工をするのか具体的に伝える役割があります。設計段階の図面には記載されないような、実際に施工する形状や寸法、部材や製品の型式などが細かく記載されます。
工事現場には、さまざまな専門分野の業者が出入りし、それぞれ担当する作業が異なります。
現場での分業をスムーズに進めるために、設計図のみでは指示が難しい箇所や施工方法などの情報が施工図にまとめられています。
施工図がないまま工事を行うと、ドアや窓などの建具がはまらない、配管や配線が通せない、といったトラブルや欠陥のリスクが出てきます。
結果的に工期遅れや施工のやり直し、予算オーバーなどの可能性もあり、スムーズな工事を行うためにも施工図は重要です。
施工図と竣工図・設計図の違い
建設現場や土木現場で使われる図面には、施工図の他に竣工図や設計図がありまは。各図面で作成者や使用者、使われるタイミングなどは異なるものの、工事をスムーズに完了させるために必須です。
設計図の理解を深めるために、それぞれの違いを押さえておきましょう。
施工図と竣工図の違い
竣工とは工事が完成することを指し、竣工図は実際に完成した(竣工)後ので建築物や配管などの状態を記した図面です。施工を通して、最終的に目指すゴールはどういったものなのかをまとめたものが竣工図です。施工図と竣工図はいずれも設計図を基に作成しますが、使用目的が異なります。施工図は実際の施工で必要となる情報を記載しているのに対し、竣工図には竣工時の状態について細かく記されています。また、竣工図は修繕や改修工事の場合に用いられます。
施工図と設計図の違い
設計図とは、建物の外観や内装について、一定の技術指針に基づいて作成された図面です。工事を依頼した施主や施工業者に対し、「このような成果物を作りたい」のかを明確に示すことで、共通認識を持たせる役割を持っています。設計図は施工段階で必要な情報よりも、成果物の仕上がりの図解がメインです。対して、施工図は、設計図で示された完成状態を目指すための施工プロセスを追記し、各業者に周知するための図面と言えます。
施工図を作成する目的
施工図は、施工業者にとっては欠かせない資料です。ここでは、施工図を作成する主な4つの目的について解説します。
施工に必要な寸法を把握する
施工図には、建具の収まりや空調設備など、各施工業者が作業するために必要なすべての寸法が記載されています。設計段階では未確定であった間取りなども、最終決定された状態で網羅されているため、各業者は施工図を見て作業することが可能です。円滑な情報共有を促す
施工図は、すべての施工関係者へ配布されるため、現場における情報共有の円滑化を促します。施工図を見ることで、部材の種類や担当業者などを認識でき、現場での連携がスムーズに進みます。施工図には種類がありますが、寸法や部品詳細などの情報は共通しており、掲載ミスがあった場合に早く気が付いて修正できる点もメリットです。
施工ミスや各工事の干渉を未然に防ぐ
施工図は、施工ミスを未然に防ぐ目的を担っています。施工図がないまま施工を始めてしまうと、各場所の収まりが悪くなり、トラブルが発生する可能性があります。また、各施工関係者の干渉の防止にもつながります。各業者がスムーズに作業できるよう調整することは、現場の安全性を確保する上でも重要であり、適切な施工図を提供する必要があります。
施工段階での無駄を省く
施工図により、施工段階での無駄な労力やコストを抑えることが可能です。施工図なしで建物を建てるとなると、必要寸法の採寸ややり直しなどが増えて、無駄な時間がかかってしまうでしょう。また、部材や労力も余計に消費してしまい、結果的にコストがかさむ恐れもあります。スムーズに工程を進めるためにも施工図は重要です。施工図の種類
施工図にはいくつかの種類があります。ここでは、8つの施工図の種類について紹介します。平面詳細図
平面詳細図は、建物の内装や家具の配置、住宅設備などの設置位置を中心に記載した図面です。リビングやベッドルームなど各部屋の名前や寸法、扉や窓といった建具の位置なども記載されます。
内装工事や電気工事などで使用します。
断面詳細図
断面詳細図は、現場を断面的に見たときの詳細情報が記載された図面です。建物を横から見たときの断面を図面に落とし、上下の位置関係などを盛り込んでいます。
上から見た平面詳細図や構造の躯体図などでは確認が難しい部分を図面にまとめています。
躯体図
躯体図は、建物の構造と呼ばれる柱や梁、基礎などが記載されています。成果物が完成したときには見えないものの、建築物を施工するにあたって欠かせない情報です。
躯体図上の寸法は、人が実際に利用するときだけでなく、自然災害時にも不具合が生じないよう計算されています。
利用者の安全性を守るためにも、躯体図は重要な図面と言えます。
天井伏図
天井伏図は、照明や換気扇、火災報知器や天井点検口の位置など、天井に関わる情報が記載された図面です。一般的な建物の天井は壁紙で仕上げますが、その下に施工する石膏ボードの方向やつなぎ目の位置などが記載されています。
また、各部屋の天井の高さや仕上げの種類なども天井伏図で確認します。
照明や空調などの設備工事や電気工事などをスムーズに進めるために重要です。
配管図
配管図は、ガスや水道、換気などの配管の道筋が記されている図面です。建物を建てる際は、他の設備や柱などと配管が干渉しないように綿密に計画する必要があります。
想定している経路で配管できるかを早い段階で確認し、必要な修正を行うために配管図は重要です。
割付図
割付図とは、建物の見た目に関する図面です。タイルの貼り方など、建物がした完成した際に見える箇所をきれいに収めるために重要な情報がまとめられています。割付図がない場合、目測でタイルを貼ることになり、熟練した職人であってもズレが生じてしまう可能性があります。
正確性が必要な工事には、割付図が欠かせません。
プロット図
プロット図とは、電気設備工事と建築工事の情報がまとめられた図面のことです。照明や消防設備、エアコン、電源、コンセント、スイッチなど電気設備に関する情報が記載されています。
各施工業者の工事に支障が出ないかを確認する目的があり、打ち合わせなどで用いられます。
外構図
外構図は、名前の通り建物の外側の詳細が記載された図面です。塀や植木などの位置や高さ、芝生の範囲、地面の傾斜といった見た目に関わる情報はもちろん、地中の排水用配管ルートなどが細かく書かれます。
施工図の書き方
施工図は、種類によって書き方が多少異なります。ここでは、基本となる平面詳細図の書き方を解説します。1.壁芯と柱の中心線を書く
2.壁・柱の線を書く
3.開口部を書き込む
4.設備機器を書き込む
5.床の仕上げを書き入れる
6.縮尺や方位など付随する情報を記載する
まとめ
施工図は、各施工業者が現場でスムーズかつ安全に作業するために重要な図面です。必要な寸法を把握できるだけでなく、施工ミスや各工事の干渉を防ぎ、工期の遅延や予算オーバーなどのトラブルを予防する目的もあります。
施工図にはいくつかの種類がありますが、いずれでも寸法や部材の仕様、設備品番などの情報を網羅していることが大切です。
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施工図についてよくある質問
施工図の役割は?
施工図には、各施工業者が現場で作業する上で必要な情報が網羅されており、円滑な工事をサポートする役割があります。また、施工ミスや各工事の干渉を未然に防ぎ、工期遅延や予算オーバーなどのトラブルを回避するためにも重要です。
施工図と竣工図・設計図の違いは何ですか?
施工図は、現場の各工事に必要な寸法や部材、設備の仕様などがすべて記載されている図面のことです。一方、竣工図は、工事が完成した(竣工)後の建築物などの状態を記した図面で、施工を通して最終的に目指すゴールが表現されています。
また、設計図とは、建物の外観や内装に関する情報が記載された図面です。
施工図と竣工図はいずれも設計図を基に作成されます。
ただ、施工図は実際の施工で必要となる情報を記載しているのに対し、竣工図は修繕や改修工事の場合に必要な情報が網羅されています。
施工管理の図面の種類は?
施工図の種類はいくつかありますが、主要なものは以下の通りです。
- 平面詳細図
- 断面詳細図
- 躯体図
- 天井伏図
- 配管図
- 割付図
- プロット図
- 外構図
施工図の図面作成を効率化するためには?
施工図は、各業者が現場で作業する際に参照する資料であり、寸法や部材、設備の品番など細かな情報がすべて正しく記載されている必要があります。手書きでも作成できますが、時間や手間がかかります。人為的なミスを避けて効率的に仕上げるためには、JWCADなどのソフトが有用です。JWCADでの図面作成を効率化するためには、マウスホイールのクロックメニューやショートカットキーを上手に使うことが大切です。
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