- 2024年08月08日
建設現場に求められるコロナ対策とは?管理者が行うべき施策や対策グッズを紹介
経営に役立つ知識
2020年初頭から蔓延しはじめた新型コロナウイルスの影響により、建設現場の管理者・作業員にも新型コロナ対策が求められています。感染予防対策は国からの働きかけであると同時に、作業員の健康を守るためにも管理者が日頃から意識すべき事項の1つです。そこでこの記事では、管理者がコロナ対策として行うべき施策や対策グッズを紹介します。
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現場管理者が取り組むべきのコロナ感染予防対策の基本
新型コロナ対策のためには作業員個人の意識改革だけでなく、職場(現場)全体での予防対策が必要です。そのためには現場管理者が意識的に施策を講じていかなくてはなりません。具体的には、以下の事項がコロナ感染予防対策の基本になります。・現場での感染症対策
・感染が疑われる作業員が出た場合の対応
・作業員の感染が確定した場合の対応
・濃厚接触者の対応
・個人の意識啓発
現場管理者は日常的な対策と並行して、感染が疑われる作業員が出た場合や感染者が生じた場合の対応、濃厚接触者の処置についても留意しなくてはならないのです。
現場での感染症対策
建設現場での具体的な感染症対策については、厚生労働省・(公社)日本産業衛生学会から対策マニュアルやガイドラインが公開されています。各事項について順に確認しておきましょう。作業員の体調管理
作業員は現場への出勤・在宅勤務問わず、休日も含めて日頃から体調管理に努める必要があります。管理者は検温と風邪等の症状の有無を確認するように指示しましょう。特に出勤前には検温や体調確認を徹底させなくてはなりません。体調に懸念が残る場合には各種休暇の取得を奨励することも大切です。勤務中に具合が悪くなった場合は、必要に応じて直ちに作業員を帰らせて自宅待機を命じてください。快方に向かわない場合には医師や保健所の診断を検討・指示しましょう。日々の体調確認には「体調管理カード」のような健康観察票を利用して、体温や風邪様症状の記録を取ることが推奨されています。この観察票は個人での管理が基本ですが、社内で扱う場合には個人情報に該当するため、取り扱いには注意が必要です。万が一、新型コロナウイルスに感染した場合は、保健所などで出勤日・休日の別を問わず体調の経過を尋ねられるため、非勤務日についても記録を取るのが望ましいです。(健康観察票には厚生労働省作成のテンプレートがあります。https://www.mhlw.go.jp/content/000622349.pdf ※PDF)
換気
新型コロナ対策には「換気」が有効であるとされています。現場管理者は換気の徹底などの作業環境管理に配慮しましょう。具体的には、現場となる作業場所での換気の励行、事務所での扉や窓の開放による常時の自然換気、換気装置の設置、休憩所などでのエアコン・換気扇の使用、密室・密閉空間での送風機を利用した換気などが推奨されています。また、コロナ対策に限らず、夏場などの熱中症対策の観点からも、気温や湿度の高い日には空調設備や冷房を利用中の定期的な換気が必要です。冬場の寒い状況であっても定期的な窓開け換気を行うなど、特に室内の場合には空気が滞留しないように注意しましょう。三密の回避
新型コロナ対策として「三密(密閉・密集・密接)」の回避が求められています。屋外での現場作業であれば三密になる機会は少ないかもしれませんが、休憩場所や現場事務所などでは三密になる場面もあるかもしれません。どうしても回避できない状況下では原則として会話を禁止して、可能な限り三密になる時間が短くなるような配慮が必要でしょう。三密回避のために労使協議の上、時間差で昼休憩を取っているという現場も少なくありません。また、建設現場では作業用エレベーターの利用も三密回避の観点からルール設定が必要となる可能性があります。定員を3名以内に限定する、ポスターを掲示して注意喚起を行う、操作盤の消毒を徹底するといったルールを決めて周知することが大切です。手洗い
新型コロナ対策のために丁寧な「手洗い」は不可欠です。原則として石鹸と流水を使って手を洗うようにしましょう。特に飲食前、トイレや打ち合わせ場所といった共用部の利用前後、勤務前後には、手洗いの徹底を励行してください。食事の時間までに間がある場合でも3時間に一度や半日に一度など、定期的に手洗いをするように作業員に申し伝えましょう。手洗いが済んだらペーパータオルや個人のタオル・ハンカチなどでよく拭くことが大切です。なお、アルコールでの手指消毒は補助的な効果に留まるため、アルコールのみで殺菌が完了するとは考えずに、過信しないよう気を付けましょう。マスクやフェイスシールドの着用
「マスクやフェイスシールドの着用」は新型コロナ対策の基本です。とりわけ三密の回避が難しく複数人で作業する場合や、近距離での会話を避けられない場合には、必ずマスクを着用するように指示しましょう。種類としては不織布マスクが最も簡便で効果が高いですが、布マスクも有効です。また、マスクやフェイスシールドは他人と共有せずに、自分のものも毎日取り換えることが大切です。なお、フェイスシールドは顔面への飛沫対策としては有効ですが、飛沫吸入防止に役立つものではないため、マスクの代用品にはなりません。フェイスシールドを単体で使用するときは対人距離を2メートル空ける「フィジカル・ディスタンス」を心掛けましょう。ちなみに法令で防じんマスクの着用が求められるときは防じんマスクを身につけましょう。建設現場でのマスク・フェイスシールドの着用においては、作業負荷と熱中症リスクに配慮することも重要です。マスク等の着用で呼吸の負荷が増して疲労を感じやすくなったり、体温の発散がうまくいかずに熱中症に掛かりやすくなったりします。管理者は感染対策と並行して熱中症予防に気を払うなど、作業員の様子をよく観察するようにしましょう。
感染が疑われる作業員が出た場合の対応
感染が疑われる作業員が出た場合は、上司に報告したうえで他の作業員へ周知しましょう。医療機関への受診を指示することも必要です。できる限りPCR検査や抗原検査まで受けるように奨励することも忘れないようにしましょう。現場管理者は対応に際して迷うことのないように、前もって各自治体の対応方針を調べておくとよいでしょう。なお、感染の目安の1つである発熱の考え方として、感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)では「発熱とは体温が37.5℃以上を呈した状態をいい、高熱とは体温が38.0℃以上を呈した状態をいう」となっています。しかし平熱は人によって異なるため、日常的に検温をして平熱を把握しておくことが大切です。作業員の感染が確定した場合の対応
作業員の感染が確定した場合には保健所の指示に基づいて自宅待機を命じるのが先決です。その上で回復後の対応を考える必要があります。職場復帰の目安としては以下があります。■次の条件をいずれも満たす状態で職場復帰させる。
・発症後(ないし診断確定後)に少なくとも10日が経過している。
・解熱後に少なくとも72時間が経過しており(a)、発熱以外の症状が改善傾向である(b)。
(a)解熱剤を含む症状を緩和させる薬剤を服用していない
(b)咳・倦怠感・呼吸
加えて、現場管理者には次項に解説する「濃厚接触者の対応」が求められます。