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  • 2024年11月15日

CADで電気配線図を書きたい!CADの基礎知識を押さえよう

電気工事に関する知識
CADで電気配線図を書きたい!CADの基礎知識を押さえよう

CADとは、Computer Aided Designの略で「コンピュータ支援設計」を意味します。建築から機械、服飾まで設計図を必要とする分野では広く利用されているシステムです。CADを利用することで設計図を描く時間が短縮されますし、CADの機能を使えば状況に合わせてより見やすい設計図を用意することもできます。電気配線図を描く際にもCADは有用ですが、CADの操作方法だけを知っていても電気配線図を描くことはできません。あたり前ですが、電気配線図に関する知識も必要です。

CADで電気配線図を描きたいと考えている方のために、CADのメリットと電気配線図をCADで描くための基礎知識を説明します。

 

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CADのメリットとは?

そもそもCADにはどのようなメリットがあるのでしょうか。大きなメリットとしては3つあります。

1つ目は、作図自体に技術が必要ないことです。線を一定の太さで引いたり、さまざまな種類の線や記号をわかりやすいように書き分けたり、手書きできれいな設計図を描くには技術が必要です。また、修正する際もきれいに消さないと読みにくくなり、ひどいときには用紙が破れてしまうこともあります。CADなら線や記号の種類を指定するだけで思い通りに書け、修正も簡単です。作図の技術を習得する手間が省け、経験の浅い人でも読みやすい設計図を描くことができます。

2つ目は、保存性が高いことです。設計図は形になった後も修理をするときなどに使うことがあります。また、工事を行った証拠として長期保存する場合も多いでしょう。紙の設計図だと時間経過で劣化していき、破れてしまったり、飲み物や食べ物をこぼしてしまったりとアクシデントが起こるかもしれません。データなら、記録している媒体の劣化は起こりますが、他の媒体にコピーすれば半永久的に保存できます。もちろん衝撃でデータが消えてしまったり、うっかり削除してしまったりといった事態は想定できますが、バックアップを取れば問題ありません。さらに、紙とデータの違いは、設計図を誰かに見せたいときに紙の設計図ならわざわざ持っていく必要がありますが、データならインターネットを介して送信するだけで済むという利便性の高さにも表れます。

3つ目は、レイヤー機能があることです。手書きの場合は一枚の設計図にすべてを書き込むことになりますが、CADにはレイヤーという機能があるので、要素ごとに図面を書き分けて重ね合わせることで一枚の設計図を完成させます。製図がしやすいという利点もありますし、不要な図面を除いたり、必要な図面だけを表示させたりして、確認したい要素だけを設計図に反映させるといった使い方をすれば、複雑な工事でも見やすい設計図を用意することができます。

 

まずは建物の施工図を用意しよう

電気配線図は建物の施工図(建築図面)の上に書き込みます。ですから、まずは施工図のデータを取り込みましょう。施工図がCADで書かれたものならデータを読み込むだけですが、紙の図面しかない場合はスキャンが必要です。施工図を用意したらその上に電気配線図を書き込んでいきます。書き込むものは大きく分けると配線と電気設備(電気シンボル)だけです。配線は線の違いで表し、600Vビニル絶縁電線といったその配線の種類も英語訳のイニシャルで書き込みます。電気設備は記号で表すのですが、大まかにスイッチ、コンセント、機器・器具、照明、その他(受電点や立ち上げ、引き下げなど)に分類されます。頻繁に使う記号はしっかり区別して覚えておきましょう。

 

単線と複線って何?

電気配線図は単線図と複線図に大別されます。単線図とはコンセントからジョイントボックスへ、照明からスイッチへといった器具間の配線を一つの線で表す書き方です。それに対して複線図とは、実際に使う配線をすべて記す書き方です。

例えば、コンセントの電線には電気が流れてくる電線と流れていく電線が必要なので、2本の電線を描くことになります。他の配線があればさらに本数は増えていきます。単線図のほうが見やすいので、基本の設計図は単線図にします。細かい配線の説明が必要な部分は、それぞれ複線図が必要となりますので、状況によって使い分けましょう。

 

電気配線図を完成さるために必要な図面

CADはレイヤー機能を使って書いていくので、電気配線図を作るために必要な図面を知る必要があります。一般的な住宅の電気配線図なら、配置図、分電盤結線図、配線系統図、幹線系統図、弱電系統図が主な図面です。

配置図は電気設備がどこに配置されているかを表します。それを基に容量計算して、分電盤や配電盤、使用する配線などを決めてその他の図面を作成します。配置図作成が電気配線図を描くための基礎となるのです。配置図はさらにコンセントや照明、エアコンといった電気設備ごとに図面を分けます。

分電盤結線図には分電盤と各回路のつながりを書きます。大まかな場所ごとの配線を一つにまとめたものが分電盤結線図における回路です。例えば、キッチンにいくつかのコンセントがあるなら、それらの配線をジョイントボックスで結線して一つの回路とします。受電点、電力計、分電盤を順に書き、すべての回路とつなげて各回路に数字を振っていきます。

配線系統図では実際の工事現場を想定して配線ルートを書き込みます。回路番号と電気設備を書き、配線でつなげます。違う階へとつながる場合は立ち上げや引き下げの記号を使いましょう。配線系統図はコンセントや照明などの電気設備ごと、階層ごとに図面を区別します。

幹線系統図は受電点から電力計を通り、分電盤に至るまでの経路を描く図面です。使用する幹線の種類も書きますが、他に書くものはあまりないのでシンプルな図面になります。

弱電とは、電話やテレビ、インターフォンなどの微弱な電圧で使う電気機器のことで、それらの配線を記したものが弱電系統図です。電話線は引込口から各部屋の差し込み口を通るように配線を設計し、テレビはアンテナからの配線も書きます。

一般的な住宅なら以上の図面で十分な場合がほとんどですが、建築物によっては違う図面を作成することもあります。CADはあくまで設計図の作成を支援するシステムなので、完成した設計図には大きな違いはありません。ですから、CADで設計図を描くためには、CADの操作方法以前に設計図の作図知識が必要不可欠です。電気配線図も同様なので、設計に必要な基礎知識を身につけるところから始めましょう。

 

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